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水ブドウへの探究心

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

私が大好きな食べ物が水ブドウなのは周知の事実ですが、私は常々思うのです。

もっと食べ方の種類があるのでは、と。

今のところ、生、茹で、焼き、粉砕しての加工が主な食べ方になりますが、水ブドウの可能性はこれらだけでは無い筈です。


「それで?色々試してほしいと」


「はい」


そういうわけで、冒険者ギルドの料理長に協力してもらい、色々と試してみたいと思います。


「話を聞いてる限りは大抵は試しているみたいだな。それなら、あまり家で出来ない事をしてみるか」


料理長が手際良く準備を進めている間に、私は水ブドウの皮を剥いておきます。


「まずは揚げてみよう」


水ブドウが泡立つ油へと投入され......。


「おわぁ!危ねえ!」


半ばまで水ブドウが浸かった瞬間、油が弾けました。

これはいけませんね、すぐに水ブドウを引き上げます。


「水分が多いからか。揚げは駄目だな」


まさか水ブドウに適さない調理があるとは......。


「他は、練ってみるか」


水ブドウを非常に細かくし、ヒマワリ粉を少し混ぜてひたすらに練っていき、成形して一口大に切って完成。


「ふむ、悪くはありませんが瑞々しさが随分と無くなりましたね」


「練りだからな。ちょっとした携行食には良いんじゃないか?」


「そうですね」


これはこれで収穫ですが、どうせならば更に美味しい食べ方を見つけたいものです。


「1番好きな食べ方は何だ?」


「生です。かぶりつくのが1番好きです」


瑞々しさと甘さ、酸味が最高の一時を生みます。


「そうなるとだ、生の方向で考えてみようか」


「生の方向、ですか?」


生は生では?


「焼き鳥みたいにタレを漬けて食べてみようか」


「タレはどのようにすれば?」


「水ブドウが1番だってんなら、水ブドウを使うのが良いだろう。つまり、水ブドウを煮詰めて甘くしたのをかけて食べる」


「なんという事でしょう」


水ブドウに水ブドウをかける。

何故その発想が今まで私に無かったのか、自分の発想力の貧困さに反省するばかりです。


「煮詰めるからな。少し時間がかかるから、たまの贅沢って感じにはなるだろう」


「ふむ」


しばらく水ブドウを煮詰め、ドロドロになったものが完成しました。


「これを、水ブドウの上からかけるってわけだ」


「おーーー」


水ブドウが、水ブドウをかけられて2重に光沢を放っています。


「さ、食ってみろ」


「いただきます」


いざ、実食。


「!!」


こ、これは!?

爽やかな酸味はそのままに、濃厚な甘さが追加されて素晴らしい味わいになっています。

香りも重厚になっており、食べ進めるほどに水ブドウに包まれているような酩酊感は生だけでは成し得ない特別感で全身を満たします。

実に、実に素晴らしい......。

神よ.......。


「どうだ?」


「料理長、あなたへ最大限の感謝を。水ブドウが更に水ブドウになりました」


「何言ってるかは分からないが、満足したようだな」


「はい」


とはいえ、それなりの数を使いますので時々の贅沢になりそうです。

なるほど、人間が贅沢を覚えれば戻れないと言う意味が分かりました。

これは確かに、抗いがたい欲求です。


「今後も忙しい時は頼むぜ。ティファレトちゃんが給仕した日は酔っぱらいが少ないから後片付けが楽なんだ」


「はい」


いっその事、ギルド職員も出来るようになるべきでしょうか?

今度ギルド長に相談してみましょう。

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