教会でお勉強
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
鍛錬と朝食が終わり、少しの間子ども達の勉強時間なのですが、今日は他にも参加者がいます。
「.......」
銅階級試験の時にいたダレンさんです。
試験以降、時折こうして教会を訪れては子ども達と勉強をしています。
「アーノルド、どうだ?」
「うん......うん!合ってるよダレンさん!」
今回はアーノルドが採点役のようですね。
今まで勉学とは無縁だったダレンさんなので、読み書きと計算に苦戦していますが、確実に身に着けていっており成果が目に見えて表れています。
子ども達が採点役をしているのは、教える事も勉強の1つだからです。
如何に要点を纏め、相手の理解力や知識量に合わせて説明が出来るか。
これが出来る事で知識はより深みを増し、応用に繋げる事が出来るのです。
ちなみに、使用している皮紙などの筆記具の費用は全て私が出しています。もう少し筆記具が安くなれば良いのですが......。
「はぁ......」
「どうしました?ダレンさん」
「今にして思えば、金額を誤魔化された依頼も多いな、と」
「なるほど」
知識を身に着けた状態で思い返すと、当時では理解出来なかった事が理解出来たのでしょう。
知識が無い事の最も恐ろしい点は、気付く事すら出来ない事でしょうね。
気付けない以上、警戒もしようが無い。それはお金でも命のやり取りでも同じです。
「最近、依頼表を比較出来て、な。以前の俺は、仕事を選べても、いなかったんだ」
「ダレンさんも孤児だったの?」
「ああ」
「僕達の同じだね」
「一緒に覚えていこうぜ!ダレンさん!」
「......そうだな。俺は、勉強が楽しいってことを、初めて知ったよ」
戦闘能力は元々銅階級に迫る実力ですので、学が身に着けば昇級も夢ではないでしょう。
本人もやる気がありますし、近い内に銅階級が増えるかもしれませんね。
「ぬ、難しいな。いや、これは、こうか?」
勉強を通じて視野も広がっていそうです。
次に昇級試験を受ける時には、以前のように難なく勝利する事は出来そうにありませんね。




