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腕相撲大会

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

依頼を終えて報告をしに冒険者ギルドに来たは良いのですが、妙に活気がありますね?

お仕事終わりの酒盛りをしているのはいつもの事ですが、それにしては熱がこもっています。


「我こそはハルフォンソ1の力持ちだと証明してみせろ!」


「おおー!」


ダーツさんが声高に叫んでいますね。


「あ、ティファレト。こっちこっち」


角のほうにいるツィツィーさんが私に手招きをしているので向かいましょう。

おっと、その前に報告を済ましてしまいましょう。


「こんにちは、ツィツィーさん」


「こんにちは、ティファレト」


「また何かしているのですか?」


集まっている人達をみると、ほとんどが男性です。

時々男性陣が集まって何かをしているのは目撃指定しているので、今回もその類とは思うのですが。


「あれね、男達のいつもの病気よ」


「病気持ちが多くありませんか?それもいくつか併発していますよね?」


「そんなものなのよ」


「そういうものですか」


考えても分からない以上、そうであると認識するしかありません。


「それじゃあ第18回、腕相撲大会の開催だ!」


腕相撲でしたか。男性は筋力比べをするのが好きみたいなので不思議はありませんね。


「今回の商品はすげぇぞ?1番にはなんと!2年物のヒマワリ酒の進呈だー!」


「参加するわ」


ツィツィーさんが立ち上がって輪の中に入って行きました。お酒大好きですからね。


「参加賞は残念ながら水ブドウだ。そういうわけで頑張れよ!」


私も席から立ち上がり、参加を表明します。

理由が出来てしまいましたからね、仕方ありません。


「ツィツィーとティファレトさんも参加か、頑張れよ」


どうやら勝ち抜き戦のようですね。私のお相手は.....。


「俺だ」


双剣使いのジムさんですか。

昇格試験以来ですが、話によるとあれから鍛錬に勤しんでいるとのことです。


「明らかな反則や、手首で巻き込むのは無しだからな?腕力だけで勝負しろ」


「はい」


審判役の人から説明を聞き、小さな机に肘を置いてジムさんと手を握り合います。


「うぉ......」


「でっけぇ」


「机の半分近く埋まってんじゃねぇかよ」


胸の事は仕方が無いので反則にはしないでくださいね?


「準備は良いな?......始め!」


「せぇい!」


「.......」


始まりの合図と共に力を込め、腕を倒していきます、が、昇格試験の時と比べてジムさんの筋力が随分と上がっていますね。

それでも、まだ私のほうが力は強いようです。


「勝者!ティファレト!」


「クソッ......まだ鍛え足りないか」


「以前よりは随分と鍛えられてますよ?いずれは銅階級も夢では無いかと」


「うおおおお!」


「やっぱ銅階級は強いな」


さてさて、次のお相手は誰でしょうか?


「よろしく頼む」


バッシュさんですか。これは無理では?


「ティファレト〜、私の分まで勝ってー!そしたらお酒頂戴!」


ツィツィーさん、バッシュさんに負けたんですね。

残念ながら、私もここまでのようですよ?


「席に着けー」


審判役の人に促されて座り、バッシュと手を握り合いますが、手の大きさが違い過ぎてまともに握れません。

この時点で望みは薄いですね。


「準備は良いな?......始め!」


「ぬん」


「あっ」


あっという間に私の腕が倒され、敗北しました。

勝負にすらなりませんでしたね。


「バッシュに勝てる奴いんのか?」


「俺、次なんだけど無理じゃね?」


2mを超える全身筋肉の偉丈夫ですからね。

恐らく筋力ではハルフォンソ1ではないでしょうか?


「優勝は、バッシュだー!」


結局、バッシュさんが苦戦する事も無く優勝しましたね。


「おめでとう!商品のヒマワリ酒2年物だ!」


「ありがとう」


「バッシュー!私にもお酒頂戴!」


「駄目だ。妻への贈り物だからな」


「え?」


バッシュさんの言葉でギルド内の空気が変わりましたね。どうしたのでしょうか?


「バッシュ......お前、結婚してたのか?」


「うむ、話してなかったか?」


「聞いてなかったわよ!ねぇねぇ、どんな奥さんなの?」


「妻とは幼馴染でな。ツィツィーは知っているとは思うが」


「え......もしかして、マリアナ?」


「うむ」


「身長差あり過ぎじゃない?大丈夫なの?」


「マリアナって誰だ?」


ダーツさんがツィツィーさんに聞いていますね。そんなに気になるものでしょうか?


「今は王立研究所の職員ね。私は何回かバッシュも交えてお茶した事があるわ。それよりも、マリアナって身長が私より小さいのよ」


「は?ツィツィーよりか?......犯罪か?」


「一応成人女性よ」


ツィツィーさんが150cm無いほどですので、140cm前半でしょうか?

バッシュさんが2mを超えているので凄まじい身長差です。


「奥さんは酒を飲んで大丈夫なのか?」


ダーツさんが恐る恐る聞いていますね。確かに、大丈夫なのでしょうか?


「大丈夫だ。ツィツィーぐらいには飲める」


「すげぇ......ま、まぁ、それなら大丈夫か。受け取ってくれ」


「うむ」


「他の負けちまった連中には水ブドウだ!持って帰るか、ここで食え」


「ありがとうございます」


腕相撲には負けてしまいましたが、1番の目的は達成出来ましたね。


「なぁ、ティファレト」


「はい?」


声をかけられ振り向くと、参加した大多数の人が水ブドウを差し出してきます。


「俺らは食わねぇからさ。良かったら貰ってくれよ」


「まぁ!」


なんという事でしょう!

1つだけを手に入れる予定が10倍以上にまでなりました!

ああ、今から食べ方に迷ってしまいます!


「なんとなく幸せそうだな」


「たぶんな。顔は変わんねぇけど」


「こうすりゃ無駄にせずに済むしな。誰も損しねぇしコレで良いんだよ」


生、搾り汁、干し、どれこれも魅力的です!

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