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憧れであり反面教師

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

いつものように教会の仕事の後、冒険者ギルドに来たのですが......。


「ティファレトさん」


「私達に」


「秘訣を教えて!」


入った瞬間、女性冒険者達に囲まれ、テーブルの一角に連れ込まれてしまいました。


「何でしょう?」


「色々あるんだけど、1番聞きたいのは決まってるわ」


ツィツィーさんが代表なのでしょうか?集団から一歩前に出ています。


「どうしたらそんなに胸が大きくなるの!?」


「はい?」


理由も動機も分からず、思わず疑問が言葉に出てしまいました。

周りの女性陣が一斉に頷いているのが妙に恐怖心を煽ります。

それにしても、胸の大きさですか.......。

この姿をとって自我を持って生まれた時点で大きかったので、どうしたらも何も無いのですよね。


「特に何かをした訳では無く、気付いた時にはこの大きさでした」


「くっ......くぅ〜〜〜〜!」


「言ってくれるわね」


「何故?何故こんなに不公平なの?」


床に蹲ったり、空を仰いだりしながら怒りを向けられているのを感じます。

もしかして、逃げたほうが良いのでは?


「いつも食べているのは、水ブドウでしょ?」


「はい」


「飲み物は?」


「水ブドウの搾り汁か水です」


「鍛錬もしてるよね?」


「はい。走ったり武器を振っています」


「何故?水ブドウ以外に違いが見当たらないわ!」


手足を震わせながら叫んでいますね。診療所にお連れしたほうが良い気がしてきました。


「何故、そんなに私の胸が気になるのですか?」


純粋に疑問です。


「ティファレト。私達の胸を見て共通点に気づかない?」


はて、共通点ですか?

ふむ......あまり膨らんでいない事でしょうか?


「膨らんでいない事ですか?」


「ぐはぁ!!」


「がふっ!!」


胸を押さえながら吐血せんばかりの勢いで蹲っています。


「いい?ティファレト。女はね、大きい胸に憧れるものなのよ」


「憧れ、ですか?」


「そう!胸が大きいと何があると思う?」


「足元が見えないとか、服が高くつくとか、揺れて痛みが走る......とかですか?」


「......」


「あの?」


皆さんが一斉に考えながら黙ってしまいました。


「もしかして、結構大変?」


「私はこの体しか知りませんが、服や防具は必ず特注品になりますし、攻撃は避け辛いですよ?」


避けたと思った攻撃が胸に直撃すると激痛のうえ、そのまま揺れるので激痛が加速します。


「私、小さくても良いかも」


「いやいや、男から人気が出るでしょ!」


「そうなのですか?ふむ......」


これは私も含め女性陣では答えが出ないので、男性陣に聞いてみましょう。ちょうどよくザバンさんがいますね。


「ザバンさん」


「んあ?どうした?変な事に巻き込まれんのはゴメンだぞ?」


「私の胸はどう思いますか?」


胸を下から持ち上げ、見えやすいようにします。


「ぶふっ!......あ〜〜〜、胸は最高だよ、胸はな」


「ツィツィーさんから大きい胸は男性に人気があると言われまして」


「それは間違い無いな。間違い無いが、結局女は胸じゃ決まんねぇよ」


「と、言いますと?」


「ツィツィーとティファレトなら、俺はツィツィーを選ぶってこった。年中水ブドウ生活はゴメンだね」


「そうですか。だ、そうですツィツィーさん」


ツィツィーさんの方へと振り向くと、何やら神妙な顔で女性陣と話合っています。

あ、こちらを向きましたね。


「ティファレト。私達はそれぞれの魅力で頑張っていくわ」


「はぁ......そうですか」


「色々と質問責めをしてごめんね?もし、胸の事で困った事があったら言ってね?」


「はい」


何だったのかは分かりませんが、どうやら彼女達の問題は解決したようです。

胸に関しては神の趣向なので悪くはありませんが、利便性で言えば小さい方が良いと思いますよ?

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