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シスターはサウナ好き

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

今日は冒険者はお休みでして、最近通っているサウナに行こうと思います。

あの温かさや湿気、閉塞感が中々に癖になりまして、ジョンに勧められてからというもの度々利用しています。

サウナの数がハルフォンソの街は多いので、今のところはお気に入りを見つける段階です。


「いらっしゃい。アワダチソウがあるから、使って体を拭いてから入るんだよ」


「はい」


更衣室で服を脱ぎ、タオルを手にしていざ浴室へ。

アワダチソウで体を隅々まで泡立たせ、タオルで拭き取り、体に巻きつけたら準備完了です。

おっと、髪を纏めるのを忘れていました。腰まであるので頭が重くなってしまいますが、仕方ありません。

噂によると、最近は男女でそれぞれ別のサウナになっている場所が増えているとか。

土地が余っているのでしょうか?一纏めにした方が色々と手間が減ると思うのですが。


「でっっっっか」


「え?嘘でしょ?本物?え?」


サウナの扉を開けると、濃密な水と石の匂い、汗が噴き出る湿気と熱気が私の体を包みます。


「ふぅ......」


「あら、ティファレトさん?」


「?」


腰を下ろし、落ち着いてサウナを堪能していると、聞き覚えのある声がしました。


「ミリアーネさん、こんにちは」


「こんにちは。奇遇ね。サウナ好きだったかしら?」


「最近、お気に入りになりまして。今は色々なお店を回っているところです」


声の主はミリアーネさんでした。

肩まである髪を纏め、褐色の肌を汗で濡らし、火傷の跡がある顔はとても穏やかです。


「サウナが終わったら、店頭の売店を見てみてちょうだい。きっとティファレトさんなら気に入るから」


「分かりました」


サウナによっては店頭に売店が並んでいまして、品揃えはそれぞれ......いえ、水ブドウの搾り汁が多いですね。


「それにしても、大きいわね」


「?......ああ、胸ですか」


とても大きいので、小さめのタオルでは巻く事が出来ないのが困りものです。


「何か、大きくする努力とかはしたのかしら?」


「いえ、特には」


人の形をとった時点で大きかったですからね。

あえて言うならば神の趣向です。


「それでは、そろそろ上がりますね」


「ええ。また依頼が一緒の時はよろしくね」


「はい」


汗を大壺に入っている水で流し、タオルで拭き取って着替えて早速売店へ。


「これは......」


売っているのは定番の水ブドウの搾り汁と......水ブドウの香油?


「最近出た物でね。人気はぼちぼちってところさね。甘めで爽やかな匂いが好きなら気に入ると思うよ」


「ふむ」


早速買って手に塗ってみます。


「これは、良いですね」


まさに水ブドウ。

水ブドウが私を包んでいます。ああ......実に良い気分です。


「気に入ったようだね。どうだい?安くするから何本か買わないかい」


「もちろんです」


サウナを堪能し、素晴らしい香油にまで出会えました。

時には贅沢が押し寄せるというのも悪くはありませんね。

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