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ヒマワリと油と厚意

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

今日の私はひたすら槌を振るっています。


「よし、次はこっちを頼む」


「はい」


何をしているのかと言いますと、ギトギトヒマワリをひたすら木槌で砕いています。

どうやら街で貯蔵されていたギトギトヒマワリの管理に誤りがあり、急遽加工しなければならないものが大量に出てしまったようで、それなのに水車の故障が重なってしまい、銅階級冒険者の私に依頼が回ってきたというわけです。

ギトギトヒマワリの油採取は大まかに、砕く、濾す、保存するの三工程であり、私の担当はとにかく大量のヒマワリを砕く事です。

大量のヒマワリを細かく砕いては次の担当に回し、砕いては次に回す。

おかげで私の全身はギトギトヒマワリの油塗れです。

大きめの作業着を借りて良かったです。


「そろそろ休憩にしよう。姉ちゃんも休んでくれ」


「はい」


丸太に座り、持ってきていた水ブドウをひと齧り。やはり水ブドウは最高です。甘さと水分、ほのかな酸味がたまりません。


「.......」


「どうしました?」


2つ目を頬張る私の方を加工場の従業員が見ています。何ですか?あげませんよ?


「いや、本当に水ブドウばかり食べるんだなって」


「はい」


どうやら噂か何かで私を知っている人のようですね。


「まぁ、とにかく、随分と助かったよ。明日には水車も直る予定なんだが、ほとんど終わりそうだな。銅階級の冒険者ってのはすげぇや」


「鉄階級の人を数多く雇おうとは思わなかったのですか?」


私が言うのもなんですが、銅階級以上は依頼にもよりますが依頼料が高くなりがちです。


「折り悪く、出払ってるのが多くてな。残りは信用のならん奴らばかり。となると、粗悪な数打ちよりは優秀な1人ってわけだ」


「なるほど」


「どれ、そろそろ再開しようか。このまま頑張ってくれれば、姉ちゃん個人への報酬も用意するから気張ってくれ」


「はい」


水ブドウも堪能しましたし、続きを頑張るとしましょう。

砕いて、砕いて、砕いて、砕いて、砕いて、砕きます。

そうして、そろそろ日が沈み始める頃合いになりました。


「よし!そろそろ終わりにしよう。といっても、ほとんど次の分は無くなったけどな、わはははは!」


明日の水車の仕事はほとんど無くなりましたね。


「助かったぜ。これ、今回の依頼料と......姉ちゃん個人への報酬だ。受け取ってくれ!」


「まぁ!」


少なくはない報酬金と、従業員の人が大きめの木箱で渡してくれたのは沢山の水ブドウでした。

やはり、お仕事は真面目に丁寧に行うのが1番です。

こうしてご厚意を頂ける事もあるのですから。

神の教えその3、【仕事は真面目にしろ】は実に正しいのが証明されましたね。

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