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酒と言えばヒマワリ酒

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

唐突ですが、お酒は知っていますか?

そう、原料を発酵させて貯蔵して作るアレです。

それぞれの特色あるものが各国で作られ、もちろんサンレイン王国並びにハルフォンソの街でも作られているのですが......私はどうにもお酒が苦手なのです。


「そういえばティファレトはお酒飲まないね?嫌いなの?」


「はい。味もそうですが、何だか体が受け付けなくてですね」


ツィツィーさんがサンレイン名物【ヒマワリ酒】を小樽で飲みながら聞いてきます。

ヒマワリ酒は強いお酒だと聞いたのですが?

全く酔った様子も無く、喉の渇きを潤す水分補給のように飲んでいますね。随分とお強い。


「あー、駄目な人はとことん駄目だからね、お酒は」


「ツィツィーさんはやはりヒマワリ酒ですか?」


「もちろん!他のお酒も良いけど、最後にはヒマワリ酒に行き着いちゃったね」


「そんなに違いがあるのですか?」


「味はもちろん、香りや強さも酒によって凄く変わるよ。その中でも私はやっぱりヒマワリ酒!」


【ヒマワリ酒】

砕いたサンサンヒマワリと炙ったサンサンヒマワリを混ぜ合わせ、オークヒマワリの硬質な樹皮から作った樽に貯蔵し、ヒマワリ畑に埋めて発酵させて作るお酒です。

長く貯蔵するほどに風味が増し、一般に出回るのは1年貯蔵。王侯貴族には3年貯蔵のものが供されるのだとか。

サンレイン王国の人間のほとんどはこのヒマワリ酒を好んでおり、お酒と言えばヒマワリ酒なんだとか。

大抵は巨大な樽で貯蔵され、掘り起こされた後は小樽に分けられて各売場に並ぶといった感じです。


「そんなに飲んで平気なのですか?」


「平気平気!くぅ〜、3年ものも飲んでみたいなぁ。でも売ってないんだよね」


「飲みますか?」


「え?あるの?」


「以前、ジードさんと依頼を成功させた時に頂きまして。私も子ども達も飲めませんし、良ければ差し上げます」


「本当!?やったー!」


随分な喜びようです。

ただ死蔵されるよりは、喜んで飲んで貰える人に渡るほうがお酒も本望でしょう。


「何の依頼だったの?」


「メタルアリゲーターの鱗採取です」


「げっ......絶対やりたくない」


【メタルアリゲーター】

サンレイン王国南にあるアダン砂漠。そこの地下坑道に生息するワニです。

特筆すべきはその全身を覆う頑強過ぎる鱗と素早さ。

非常に温厚なのですが、危険が迫るとヒトモドキを超える速度で縦横無尽に坑道内を走り回る為、攻撃を当てるのが非常に難しく、当てたところでほとんど傷つけられない硬さを誇ります。

少なくとも、私がメイスを直撃させても傷一つつけられません。


「どうやったの?」


「私が奇跡で動きを止めている間にジードさんがツルハシを振っていました」


「なるほど」


「加工した鱗を娘さんにプレゼントするのだとか」


「娘に甘すぎでしょ」


鱗をツルハシでほんの一欠片削るだけで銀階級であるジードさんが疲労していましたからね。

あの生物、天敵はいるのでしょうか?


「それでお礼にと依頼料とお酒を貰ったという訳です」


「ふーん」


「教会にありますので、いつでも取りに来てください」


「ありがとう!今度お礼するね!」


人と人は助け合い。

神?私は心底から人と暮らして良かったと思いますよ。

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