パーティーのお誘い
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
「では当日、お迎えにあがりますので準備のほどをお願いします」
「はい」
今私は、グランツ伯爵の使いからパーティーへの招待状を教会で受け取っています。
ダーツさんが言っていた通りワタリウシの納品が功績となり、グランツ伯爵のパーティーに参加する事になったようです。
とはいえ、王家主催のような大きなものでは無く、あくまでグランツ伯爵の身内を集めてのパーティーのようですね。
以前買ったドレスは既に会場入りしているらしく、迎え馬車でパーティー会場に入って控室で着替えるのだとか。
ふむ、どうやらレシートさんも一緒の馬車に乗るようですね。
「シスター、何だそれ?」
「グランツ伯爵主催のパーティーへのお誘いです」
「うわ、大変そう」
「良いなぁ。オススメの人がいたら教えてねシスター」
ジョンとアメリアで反応が二分しましたね。
「シスターにそれを頼んでも駄目だろ」
「......そうね。ごめんねシスター、忘れて!」
過小評価ですね。私もいつまでも学ばない訳ではありませんよ?
「オススメの人がいたら教えますよ。貴族の妻になりたいのでしょう?」
「え、うん」
「財力があり、いざという時は戦える貴族。アメリアが好みの雄はこんな所ですよね?」
「わ、凄い!シスターがわかってる!」
「もちろんです。アメリアの事はちゃんと見ていますからね」
「......なぁ、シスター」
「なんです?」
「その男って嫁さんいっぱいいるとかじゃないよな?」
「当然いるでしょう。強い雄を雌は狙うものです」
英雄、色を好むとも本に書いてありましたし、やはり種族は違っても生物の本能は似たものなのでしょう。
「やっぱりシスターのオススメは要らない!」
はて?
「シスターって女なのに女心が分かってないよな」
ジョンに言われるのは大変に不名誉な気がするのは気の所為でしょうか?
「ジョンに言われたらおしまいよね」
「それ、俺というよりシスターを馬鹿にしてないか?」
「......オススメの貴族はともかくとして、貴族の礼儀作法の本がありますのでアメリアにプレゼントします」
私の選定では不満なようですから、自身で勝ち取ってもらいましょう。
「え!良いの?やったー!」
「その代わり、しっかり学ぶのですよ?理想の相手が欲しいのなら、同じく自身が相手にとっての理想でなければなりません」
「う......はい」
「ジョンも読んだほうが良いと思いますよ?」
「えー?何で?」
「兵士は階級が上がるほどに貴族との付き合いが増えるらしいので」
「げっ」
「強さだけが求められるものでは無いという事です」
「はーい」
子ども達はとても素直です。
今は街の施設に空きが無いので教会に住んでいますが、このまま時を重ねれば施設に入らず独り立ちや養子に入るという事も充分に考えられます。
そうなっても生きていけるよう、出来るだけ学ばせてあげないといけません。
子どもは宝ですから。




