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サウナに入ろう

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

子ども達との勉強の時間が終わり、今日は冒険者業はお休みの日なので何をしようか迷います。

ひとまず水ブドウは食べるとして、読書をしようか鍛錬をしようか悩みます。


「シスター、どうしたんだ?」


鍛錬の準備をしているジョンが話かけてきました。


「今日は冒険者はお休みでして、何をしようかと悩んでいます」


「それならさ、サウナ行ってみたらどうよ?」


「サウナですか?」


「そうそう。シスターっていつもアワダチソウは使ってるけど水浴びだし、たまにはさ。女って肌が大事らしいし」


「ふむ」


肌が大事なのは色々な人に言われましたが、まさかジョンにも言われるとは思いませんでした。


「そんなに荒れていますかね?肌」


「いや?全然。というか分かんねぇ。アメリアがめっちゃ肌について言ってるから、シスターも大事にしたほうが良いんじゃねぇかなって」


「なるほど」


貴族の妻になる事を目標にしているアメリアが言うのですから肌は大事なのでしょう。

今日はサウナに入るとしましょう。


「あらまぁ、美人さんだね!1人かい?」


「はい」


やってきましたサウナ屋。

街にはいくつかサウナ屋がありまして、人々の憩いの場であり、清潔を保つ為の重要な場所でもあります。


「中にアワダチソウがあるから、使って流した後入ってね」


「はい」


【アワダチソウ】

各地に生えたり栽培されている草で、少しざらついた肌触りと汚れが取れる泡立つ粘液を出すのが特徴です。

これで体を拭けば垢が取れ、衣服に揉み込んで水洗いをすると汚れが取れるという、洗濯や洗身に欠かせない生活必需の草ですね。


「デカ......」


「何あれ?本物?」


そうして体を隅々まで洗い、タオルを巻いて股から胸元にかけて隠し、蒸し場へと向かいます。

中には男性もいますからね。人間のメスは番でない成体のオスに胸と性器を見せるのは良くないとされているので気をつけないといけません。


「え!?ティファレトさん!?」


「あら、レシートさん。こんにちは」


中にはレシートさんと他男性3人と女性2人がいました。

少々手狭ではありますが仕方ありません。大人しく温まるとしましょう。


「マジかよ.....デカ過ぎだろ」


「私と同じ人の筈よね?」


「ちょ、ちょっと外に出るわ」


初めてサウナに入りましたが中々に良いですね。

この熱気に湿気、騒々しい程ではない話し声。

特に湿気は生まれ故郷の洞窟を思い出します。

食べて大きくなって寝るしかしていなかった場所ですが、間違い無く環境の好みは生まれ故郷が影響しています。


「ティファレトさんはサウナに良く来るのか?」


「いえ、初めて来ました。中々に良いものですね」


「そうなのか.....あの、コレやるよ」


「何ですか?木の板?」


レシートさんが私に木の板を渡してきました。

何やら文字が書かれていますが.....。


「ここのサウナに何度か通うと貰える特典でさ。飲み物と交換してくれるんだ。水ブドウの搾り汁もあるぜ」


「まぁ!」


「ちょちょちょ!ティファレトさん!!?」


思わずレシートさんの手を握り、胸元に寄せて祈ってしまいました。

まさかそのような特典があるとは、これからはこちらのサウナに通う事も考えねばなりませんね。

お値段も安くて、特に負担にはならない事ですし。


「お、俺!そろそろ上がるから!」


顔を真っ赤にしたレシートさんが席を立ちました。

熱気が凄いですからね。無理をするべきではありません。


「はい。レシートさん、ありがとうございました」


「お、おう!......柔らかかった.....」


さて、私はもう少し温まるとしましょう。

まさかこのような良い日になるとは、確かに肌は大事にするべきですね。

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