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ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

今日はワタリウシの依頼報酬で服を買いに行く日です。

事前にレシートさんと待ち合わせ場所と時間を決めてたので時間に迷う事もありません。


「ティファレトさん!こんにちは!」


「こんにちは、レシートさん」


集合場所に行くと、既にレシートさんは着いていました。

皮鎧を着ていない姿を見るのは新鮮ですね。白いシャツに茶色のズボン。街の人々でよく見る服装です。

私はいつものように黒い信徒服です。


「よぉ、お二人さん」


「あら、ジードさん。こんにちは」


「ジードさん!?こ、こんにちは!」


早速服を売っていそうな場所へ向かおうとすると、ジードさんに呼び止められました。


「お前さんら、これからデートか?」


「えっと....」


「はい」


「!!?」


「?」


どうしてレシートさんは驚いているのでしょうか?

私が読みました【夫人の情熱的な一夜】という、人間の生殖が書かれた本には、男女が服を買いに行ったりするのはデートであると書かれていたのですが。


「ガハハハハ!そうか!そうか!そんなお前らに俺からのおせっかいだ」


「何でしょう?」


私とレシートさんにジードさんが手紙を渡してきました。


「ここから東にあるラパンって店に行ってそれを見せてみろ。良い服が買えるからよ」


「俺が言うのもなんだが、冒険者ってのは日雇い労働者だ。店によっては良い顔をされねぇ。」


「そこで、日頃の行いが活きるって訳だな。俺のコネだ、遠慮せず使え!」


「ありがとうございます」


「ジードさん....ありがとうございます!」


ジードさんに礼を言って別れ、レシートさんとお店に向かいます。


「いらっしゃいませ」


お店に入ると、背筋の伸びた礼儀正しい紳士が迎えてくれました。


「ジードさんからこの手紙を見せろと言われまして」


早速手紙を渡します。


「これはこれは、ようこそいらっしゃいました。ジークバ.....こほん、ジード様からお話は伺っております」


「あの....ここって、伯爵様御用達だって聞いた....です」


「そうなのですか?」


ここで聞く伯爵とは十中八九、ハルフォンソの街と周辺の土地を治めるグランツ伯爵の事でしょう。

それにしても、レシートさん随分と緊張していますね。


「お二人の事は有望かつ誠実な人物であるとジード様は評されております。で、あれば、私共もその想いに応えるのみ」


そう言って紳士が手を叩くと、従業員の方でしょうか?3人の女性が現れてカーテンを開くと所狭しと服がかかっていました。


「お聞きしたサイズには近づけておりますが、なにぶん伝聞のみの為、正確なサイズではありません。購入後、改めてサイズを調整致しますので御了承のほどを」


「はい」


「すっげぇ」


目視だけでも私が問題無く着れそうな服が大量にあります。


「レシート様はティファレト様のドレスに何か希望はございますか?」


「え!!.....え!?」


「ありますか?レシートさん」


「お、俺、いや、私は、そんな.....」


「それではティファレト様。色々と着ていただきまして、それらをレシート様に確認していただく形でどうでしょう?」


「そうしましょう」


そこから先はひたすら脱いでは着ての繰り返し。

これほど多種多様な服を着た事はありませんね。不思議な感覚です。


「どうですか?」


胸元に深く切れ込みが入り、背中が開いた青空のような色合いの露出の多いドレス。


「き、綺麗、だ」


ふむ。


「どうですか?」


柔らかく、纏うような赤の布地のドレス。


「綺麗だと思う」


ふむふむ。


「どうですか?」


深い夜空のような色合いで、露出は1番少ないけれど品性を感じるドレス。


「..........」


「レシートさん?」


「.......はっ!き、綺麗だ!......うん」


「どう思いますか?」


良く分からないので紳士に聞いてみましょう。


「私見ですが、今のドレスが最もレシート様の御心に響いたかと」


なるほど、決まりですね。


「今着ているこちらをお願いします」


「ありがとうございます。細かく採寸をしますのでこちらへ。従業員が案内致します」


「はい」


「レシート様はこちらに。先ほどのティファレト様のドレスに合う服をご用意致します」


「お、お願いします!」


そこからは、ひたすらに驚愕している従業員の方に採寸してもらい、今日の所はこれで終わりとの事でレシートさんとお店を後にしました。

目的の本も本屋で見つかり、今日の目標は全て達成したと言えるでしょう。


「それではレシートさん。私はこちらなので」


「あ、ああ....」


帰り道、私はこちらでレシートさんはあちら。別れようとしたのですが、どうにもレシートさんが私に何かを伝えたそうにしています。


「どうしました?レシートさん」


「あの、よ.....すっげぇ綺麗だったぜ」


「ありがとうございます」


「それじゃ、またな」


「はい」


面と向かって綺麗だと言われるのは、これが初めてでは無く慣れているのですが。

何故でしょう?レシートさんに言われたソレは少し....嬉しく思いました。

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