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朝の日課

ハルフォンソの街からおはようございます。ティファレトです。

日が昇り始める前、私の1日が始まります。

ベッドから起きたら、まずはお水を1杯。喉の潤いが実に心地よいですね。

次に水ブドウの木を確認.....今日も素晴らしい実りです。最近、雨が降っていなかったのでお水を与えておきましょう。もっともっと大きく育つのですよ。

次に運動です。

こう見えて銅階級の冒険者ですが、何も努力無しに成しているわけではありません。

体を伸ばして柔軟体操。それが終われば水ブドウの木を中心に周りを走ります。

全力疾走をしてはゆっくりと走り、また全力疾走。これの繰り返しです。


「シスター、おはよう〜」


「はい、おはようございます」


そうしている内にジョンが起きてきました。

本気で兵士を目指しているらしく、良く私の鍛錬に混ざってきます。

私が走っている間にジョンは柔軟体操をし、終わったら私と一緒に走ります。

体力も段々とついてきているようで、走り込み途中の休憩が随分と減っています。


「.......」


「はっ!ふっ!はぁ!」


走り込みの次は各々の武器を持っての素振りです。

ジードさんから教わった型を意識しながら、的確に素早くメイスを振ります。

ジョンは直剣ですね。中々に振りが早いです。


「いつでも良いですよ」


「今日こそシスターから1本とってやる!」


基礎鍛錬を終えた後は、ジョンとの模擬戦に付き合います。

日を追う毎に強くなっているようで何よりです。

まだ子どもですが、既に鉄階級冒険者に次ぐ実力にはなっているでしょう。

背が高くなる頃には私は敵わなくなっているかもしれません。


「今日はここまでにしましょう。お疲れ様でした」


「ぜぇ、はぁ。あ、ありがとう、ございました!」


鍛錬を終えた後は汗をかいてしまっているので、井戸水を染み込ませたタオルで体を拭きます。


「なぁ、シスター」


「なんですか?」


「もうちょっと隠さねぇ?」


「ジョンだけですし、大丈夫でしょう」


「そうかよ」


ある程度は服を脱がなければ拭けませんからね。

特に胸の谷間や下辺りは念入りに拭かないと蒸れて仕方がありません。


「シスター、おはよー」


「はい、おはようございます」


鍛錬を終えた頃にはすっかり日が昇り、子ども達が起きてきます。

では、次の日課に移りましょうか。


「シスター、もうちょっと小さく纏めてー」


「こうですか?」


「そう!」


今私は、子ども達と一緒に朝食を作っています。

今日の献立はヒマワリパン、お肉とヒマワリの炒め物、水ブドウですね。

ヒマワリパンとは、ヒマワリの種の中身を細かく砕いて粉にしたものを水と混ぜて練り、成形して焼いたものです。ここ、ハルフォンソの街で1番食べられている主食ですね。

始めの頃は私が教えながら一緒に料理を作っていたのですが、今では私が教わる側です。


「アメリア、纏まりましたよ」


「はーい、焼いていくねー」


アメリアはこの教会で1番の料理上手です。

勉強も真面目に取り組んでおり、将来は貴族に見初められるのが目標だとか。


「それでは.....神よ、日々の恵みに感謝します」


「日々の恵みに感謝します」


料理が出来たら、手作りの大きな机に食事を並べ、子ども達と祈りを捧げて食べ始めます。


「シスター、水ブドウ2つもよく食べれるね?」


「当然です。水ブドウなので」


「俺、大人になったら水ブドウを食べなくて済むような金持ちになる」


アーノルド、それは聞き捨てなりませんね。

お金持ちになっても水ブドウは食べましょう。


「大人になったら、お祝いに水ブドウを送ってあげます」


「いらない......」


「シスター、俺も要らないからな?」


「私も」


「........」


私も、傷つく事はあるのですよ?

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