第4話7月29日、世界がちょっと変わった日
バイトって意外とやってみると楽しく感じるかもしれないんですよね。まぁ私の学校はバイト禁止だからしたことないですけど……
朝の日差しに照らされて、目が覚めた。普段はたくさんの目覚まし時計がなければ起きれないのに珍しく起きれた。
近くのスマホから時間を見ると、9時49分と表示されている。
ん…確かバイトは10時からで移動に10分だから…遅刻じゃね。
やばいやばいやばい……どうしてだ? 確か目覚まし時計は9時にセットしたはずなのに。そう思って布団の近くを見ると、目覚まし時計が全部壊れていた。
「なぜ全部壊れてるんだ……?」と慌てて着替えながら考えていると、布団の横で寝ていたルカが目を覚ました。
「どうしたの? 朝から騒いで元気だね、朔夜は」と呑気に寝ぼけながら言った。
あれ…もしかしてこれって
「ルカこの目覚まし時計壊したのお前か?」「うん、そうだよ。うるさかったからね。」
「…お前かよ壊したのふざけんなとキレたいところだが」「いや、もうキレてるじゃん」と、すかさずルカがツッコんできた。今はそんなことしている場合じゃない。
とりあえず服を着替えて慌てて家を出た。
家を出てからバイト先へ向かって走っているとルカが呑気に質問してきた。
「そういえば昨日の誕生日だっけ朔夜は祝ってくれる人とかいなかったの?」と言われた。
「今じゃなくても良くないか?」と返した。
急いでるし。しかしルカは、「今なのいいから早く答えて」と言われ渋々走りながら答えた。「いないよ祝ってくれる人なんて」「家族は?友人は」「両親は他界してるし、そのことで妹とは疎遠。友人も……まあ、いないよ。慣れたけど、ちょっと寂しいかな」
と答えた。
「友人いないなんて言わせちゃって……ごめんね」と、ルカが申し訳なさそうに目を伏せた。いやそこじゃねーよ
とそうこう話しているとバイト先のコンビニに着いた。
時刻は10時2分少し遅刻したがとりあえずレジに向かった。
「遅いですよ先輩」声をかけられた。
どうやら後輩の方が先にきていたみたいだ。
彼女の名前は如月 紗月 高校生だ。先輩後輩と呼び合っているが、バイト歴は如月の方が上だ。では何故先輩後輩と呼び合っているのか?理由は単純だ。年齢が俺の方が上だからだ。
「先輩が遅刻なんて珍しいですね。どうしたんですか?」と聞かれた。どう答えるか悩んだが、「寝坊だよ」とシンプルに答えた。
ここでルカのこと話してもめんどくさそうだしね。
「とりあえずレジ打ちはお願いね」と如月に任せて、品出しをすることにした。
するとルカが「美味しそうだね」と品出しの商品に手を出そうとしたが「ダメだこれは商品だから」と言い止めた。ルカは「はいはいわかりましたよ」と不機嫌そうに言った。
その後も品出しをしながらルカのつまみ食いを止めていると、「先輩今日は独り言が多いですね」と言ってきた。
(そういえば、ルカの姿は俺にしか見えないんだった。死神って、ほんと扱いづらい。)と思いながらも「そうかな気のせいじゃない」と曖昧に答えた。
……なんとなく、背中がざわついた。
さっき入ってきた客の視線が、やけに刺さる気がした。でも、気のせいだと思った。
しかし、俺の思い通りにはいかないらしい。
「強盗だ手を上げろ」と怪しい服を着た人が拳銃片手に脅してきた。はぁなんでこうなるのかなと自分の不幸さに嘆いていた。
……7月29日、12時47分。コンビニ強盗、発生。
マジかよ。
今回はバイト回にしてみました。次回は強盗編です?
最後にはまさかの展開を用意しています。
今回も見て頂いた人もこの話から見た人もありがとうございます。