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第十四話・美魔女アマラン・サス救出作戦&監獄ダンジョンのブッ壊し計画

 監獄宮殿から大ガラスに乗って黒ユリ森の、美魔女小屋に帰ってきたシレネは。

 十三毒花が集結している部屋のテーブルの上に、記憶から書き写した、数枚のダンジョン図を置いて毒花仲間に説明した。

「あたしの記憶から模写した図も入っています……監獄ダンジョンの入り口は数ヶ所あります」

 ダンジョン図を見ながらアルケミラが言った。

「これは、チーム分けして別々の入り口から、突入した方が効率がいいな」


 策士のロベリアが言った。

「一つの入り口から全員が突入して、お決まりの通路いっぱいの石や金属の球体トラップを、傾斜から転がされたら潰されて全滅する……アルケミラの提案に賛成するぜ」

 

 エリカ・ヤロウとワスレナもアマラン・サス救出のために、危険なダンジョンに入ると言ってくれた。

 下半身はスクワット、上半身で腕立て伏せをしているエリカが言った。

「わたしも、ダンジョンに入ろう……アマラン・サス殿には、下半身が世話になっているから」


 イスに座って目から余分な毒血を絞り出している、毒入り娘のワスレナが、近くに置いてある簡単な革の防具を擦って言った。

「あたしも、アマラン・サスさんからは、いろいろと魔女料理を教えてもらっている恩義があります……今度、小屋に両親を招いて、魔女料理をご馳走したいから……その時に、アマラン・サスさんを両親に紹介したいので行きます」


 入り口をA~Eに分けて、グループ分けがされた。


 Aグループ

【錬金のアルケミラ】

【悪意のロベリア】

【人間嫌いのアザミ】

 生首冷嬢姫メリメ・クエルエル


 Bグループ

【粘着のシレネ】

【危険な快楽のゲッカコウ】

 殺し屋……エリカ・ヤロウ


 Cグループ

【夜の星イブニングスター】

【魅力ある金持ちラナンキュラス】

【官能的なジャスミン】


 Dグループ

【恋するダテ男ストレリッチア】

【風変わりなヘリコニア】

【王者の風格プロテア】


 Eグループ

【わがままな美人デンドロビウム】

【黄金の大陽ヘリクリサム】

 毒血のワスレナ


  ◇◇◇◇◇◇


 グループ分けが完了して、出発の準備で革の防具装着をしていた、目から血の涙を流しているワスレナが、何かに気づいた口調でアルケミラに訊ねた。

「アルケミラさん、監獄ダンジョンへ向かうまでの街道で、監獄宮殿の兵士たちに狙われるという危険は? 街で張り出されていた監獄宮殿新聞ではなんでも、大砲というモノを入手したとか」


 メリメたちがいる、異世界大陸アストランティアのイキシア国では──最近になって遠方国で発見開発された、黒色火薬というモノを、監獄宮殿のみが入手して。

 ついでに黒色火薬を使う武器も同時に監獄宮殿に入った。

 そのコトは、監獄宮殿一族の力を民衆に誇示する目的だけに活版印刷というモノで少量刷られて、村や街に張り出されていた。


 アルケミラが微笑みながら言った。

「ご心配なく、そのコトはロベリアも考えていて、すでに対策済みです」

 ゴスロリ服で靴ヒモを結びながらロベリアが言った。

「おうっ、オレに任せておきな……兵士たちが、街道で手が出せないようにしてやったぜ」


  ◆◆◆◆◆◆


 翌日、メリメたちが監獄ダンジョンに向かう街道──茂みの中に、大砲を隠して潜んでいる兵士たちが会話をしていた。

 真新しい長銃を手にした、兵士の一人が言った。

「早く、この遠方国から取り寄せた長銃を撃ってみたいなぁ……一発だけ、鳥を狙って撃ってみたらダメ?」

「貴重な火薬をムダにするな……おまえも、監獄宮殿中庭の実演で銃声を耳にしただろう……オレたちがここに隠れているのを、相手に悟らせてどうする」

「ちくしょう、早くメリメ・クエルエルの小振りな胸に鉛の弾丸ぶち込みてぇ……早く来い、メリメ・クエルエル」


 兵士たちが茂みで待ち構えていると、街道を近づいてくる群衆ののにぎやかな歌声が聞こえてきた。

「すごいこっちゃ、すごいこっちゃ、すごいこっちゃ!」


 歌声と楽器の音、踊りながら近づいてくる群衆に、兵士たちは目を丸くする。

「な、なんだぁ⁉」

 仮装をした老若男女の群列が、共通の身ぶり手ぶりで軽快に踊りながら街道をやって来た。

「すごいこっちゃ、すごいこっちゃ、すごいこっちゃ!」


 その群列に守られるように、メリメたち十三毒花も進行してきた。

 困惑している兵士の一人が呟く。

「これじゃあ、群衆が邪魔で銃撃できないぞ」

 ロベリアが呼びかけで、監獄宮殿の一族に不満を持つ者たちや、メリメ・クエルエルに助けられた者たちが聖地を目指す〝すごいこっちゃ聖地巡礼〟だった。

 この〝すごいこっちゃ聖地巡礼〟が、イキシア国で最初の聖地巡礼となって、後々数年単位で続いていくコトになるとは……この時はロベリアでさえ予想していなかった。

「すごいこっちゃ、すごいこっちゃ、すごいこっちゃ!」


  ◆◆◆◆◆◆


 そして、メリメたちは円形の巨大ダンジョン──監獄ダンジョンに無事到着した。

 アルケミラが言った。

「ここからは、グループ別に分かれてダンジョンに入りましょう……みなさん、ご安全に」


 ヘリクリサムが短歌を一句詠む。

「〝入り口は別々なれど監獄で心は一つ助ける美魔女〟字余り」

 それぞれのグループが、五つの入り口からダンジョンに入った。

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