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かさぶた

作者: 藤堂あき

ただいつもと様子がおかしいあなたを 見てみぬフリをするつもりでした。


でもなにげなくテーブルに置かれた携帯をあなたが寝ているときにこっそり見てしまいました。



「会いたい」


わたしにも言われたことのない言葉をあなたはあの人に送るんですね。






あなたに出会って2年。


テニス部の部長を務めていたあなたはとても人気がありました。

そしてモデルのように キレイな恋人がいました。

わたしにとってあなたたちは理想の恋人同士でした。


でも彼女の引越しがきっかけであっさり別れてしまい、

悲しそうなあなたを見ていられなくて告白してしまいました。


あなたと付き合うことになって3ヶ月。




とても大好きだった恋人が元カノと浮気をしました。




裏切られた気分とあなたの幸せを願う気持ちと

見てはいけないものを見てしまった罪悪感とで


わたしの心は折れそうになっていました。



動揺がかくせず、めずらしくお皿を割ってしまいました。

破片を拾っていると鈍い痛みがはしりました。

もしかしたらわたしは邪魔なのかもしれない 。

でも今はわたしを必要としてくれていると、言い聞かせながら

ずっと悩んで その日は全く眠れませんでした。


しばらくして 切った指はかさぶたができてました。

今のわたしとおなじように 何もなかったようにしようとしています。

でも自然にしようとすればするほど 不自然になるわたしをみてあなたは気づきます。


元カノに奪われるくらいならこのままの関係でもいいと思うのに

自分自身が早く楽になりたくてとうとう白状してしまいます。


携帯を見たことを怒ると思ったのにあなたはあっさり元カノへ

会いに行ったことを認めます。

サーと何かがさめていくのが分かりました。


「もしわたしと元カノが同時に会いたいって言ったら あなたはどうするの?」


と聞くと 少し迷って わたしの元へ会いに行くといいました。


きっと目の前にわたしがいるから選んだんだと思います。

だってあなたの顔はとても苦しそうで。

その言葉が本心ではなく嘘に聞こえて 仕方がありませんでした。

わたしは


「さよなら」


と言ってあなたの元から去りました。

できるだけゆっくりと歩く帰り道。

振り返っても あなたは追いかけて来ない。


指のかさぶたがかゆくなって かさぶたを無理やり剥したら

再び血がにじみ出てきました。

わたしはその指をそっとくわえてると 我慢していた涙が溢れてきました。



本当はずっと一緒にいたかった。



でも 真実を告げられるのが怖かった。

ずっと不思議に思っていた。

なんでわたしと付き合ってるんだろう?って


あなたにとってわたしはあの人のかわりでしかなかったんだね・・・・。


自分で分かっていたのに あなたといる時間が幸せだった。

でも夢から覚めてしまった。

これでよかったんだと言い聞かせながら、溢れる涙をぬぐった。


今度会ったときは笑顔であなたにありがとうと言えるように。


今は遠くからあなたの恋を祈っています。


転校生の番外編です。岡野先輩その後できた彼女の物語です。よかったらどうぞ。

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