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鬼火  作者: あ行
6/13

6あこがれ

「おいお前。」

 鬼がこちらへ話しかけてきた。何故だろう。こんな僕に何か用でもあるのか。その鬼の目は鋭く痛かった。少し血のにおいがする。

「ふぅん、まだ童なのか。小汚いのぉ。お前なんぞ道端の花同然。いない方がましじゃあ。」

 僕に話をしてくれた。こんなの初めてだ。そう思っていると、いきなり髪の毛を強引に掴まれた。少し浮く。鬼は笑みを浮かべている。

「そうか、そうか。何も言えんのか。可哀想じゃのう。」

 なにもいえない。感動してしまって言えない。どう言えばいいのか。すると、鬼は笑顔から真顔に変わった。その場から離れて行く。

 その鬼について行けば、何か変わるのかもしれない。変えてくれるかもしれない。

 期待を胸に込め、鬼のかっこいい後ろについて行った。

――――――――――――――

 次に到着したのは、居酒屋だった。みんな楽しそうに呑んでいる。

「酒、一つ。」

 鬼が店員に話しかけていた。僕にも話しかけて欲しいな。

 料理と酒が運ばれて来た。すると鬼は顔に皺を寄せている。

「豆だぁ?俺は鬼だぞ?誰だこんなやつ出したやつは。」

 怒ってる。どうやら豆が嫌いらしい。鬼は豆を自分から遠ざけた。食べてもいいのだろうか。一度鬼の方へ向く。透き通った綺麗な赤色の目が、遠くを見ている。自分の方へ豆の料理を近付ける。美味しそうだ。再び鬼の方へ見る。怒ってなさそうだ。豆を口に放り込んだ。美味しい。

 あっという間に食べ終わった。そうしたら、睡魔が襲ってきた。鬼の膝の上で、眠り込もうとした。

「重い、やめろ。」

 聞こえたが眠気に勝てなかった。

「〜♩」

かすかに唄声が聞こえた。心地よい。

―――――――――――――

「……!って、」

 青年が何か言っている。どうやら鬼が何か盗んだらしい。

 ぐおぉぉぉ……!!

 遠くで何かが鳴っている。

 鬼がその時何処かへ向かって行った。付いて行く。しばらく歩いた。

「ははは。天晴れ天晴れ。」

 笑っている。嬉しい。

 こちらへ目を向けられた。大きな口を開けて、

「良ぉやったなぁ。褒めてやろう。」

 !!

 褒めてくれた。こんなの初めてだ。今日は一生の思い出になる。

「〜♩」

 そしてまた、あの唄を唄ってくれた。いい事が起こり過ぎる。

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