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家に戻り郵便受けの中から手紙やらチラシを回収する。いらないものをゴミ箱に捨てながら、「御神木は焼けて真っ黒けだから太鼓に出来ない」総代の一言で処分が決まった事だけ親に言い部屋に戻った。明日は大事に温めて来た計画の実行に移る……のだが、また家から出て軽くゲーセンで遊びにいく事にする。
「ゲーセン行って来る。ついでに夕飯も食ってくる」
「悪い人に関わっちゃ駄目よ〜」
ちゃっかり小遣い貰い、母親の緊張感のない間延びしたような一言を浴びながら出ていく。自転車を取りに車庫に向かったが自動車はなく父親は出かけたようだ。ここ5日くらいランチ&ディナーで素麺が続いていたので逃げたらしい。気持ちはわかる。自転車に跨り30分くらい漕いで目的地に着く。2時間くらいメダルゲーして、駅に向かった。
「駅裏は魔境である」
いまのは独白である。ある時、父親が言っていた。古びた店のボロい扉が泣く。いつもの席に座り、注文したのは日替わり。いるんじゃないかって思っていたが父は居なかった。窓の風景はメスが等間隔に並び、一言二言オスが話かけ一緒に消えていく。悪い人は誰? 問いが浮かび、――目が合う。そのメスは、にっこり妖艶に笑うのだ。息が上がる。前戯するようメスの口が動く。熱くて甘ったるい声がいまにも耳に届いて来そうだった。
「悠真君、あの子は刺激が強いから遊びでもやめたほうがいい。誰も帰って来やしない」
配膳しつつ亭主が耳打つ声で我に返る。あのメスは、いつ、来たのか、誰もわからない。気づいたら存在していた。呪縛霊のようにあの場から動かず、オスに憑いていく。以前のやり口は公衆便所に誘導して“消す”らしいが、いまは封鎖してあるそうだ。内側からカギが掛かったまま誰もいない。そういう“悪戯”が続いたから……。




