第1坑 赤い夢
本編です。
挿絵は拡大してやってください。
赤黒い空。赤黒い地面。少しでも気を抜けば自分が宙を舞っているのか地を踏んでいるのか混乱しそうだ。
「ふんっ……。せいぜいこんなものよ。人間は」
後ろ上方から、若い女の声が響く。振り返るとブレザーを着た黒髪長髪の女が浮いている。その視線の先には3人の女の人がいた。浮いている女に対し、3人は傷だらけで、随分息が上がっている。しかし、3人は女を凝視して構えている。
女は続ける。
「百鬼夜行を切り抜け……車骨鉱の首を落としたまでは良かったが……。ふふっ。もう少し楽しませてくれたらなぁ……。そうだ、冥土の土産にいいことを教えてやる。ここまでやった人間はお前らが初めてだ。よくやった。できるだけ苦しまないように殺してやろう」
遠方に巨大な金属結晶の塊の山があることに気がついた。山らしきそれはざっくりと割れ、赤黒い液体が流れ出ており、時々全体が痙攣するような動きをしている。女の話すシャコツコウというものがこれなのか。
暫く見入っていると、3人の中のひとり、ポニーテールの女の人が怒りを顕に叫んだ。
「私たちは帰らないといけないところがある! こんな所では死ねないっ!」
対した女の顔は陰って見えないが、言葉から察して微笑しているのだろう。
「皆土より産まれ土に眠る。今行こうが、年老いて行こうが変わりはないだろうよ。そもそもだ、神が直々に殺してやるのだ。喜べ」
女が言い終わるかどうかと言ったところでまたひとり、深緑を基調に所々赤が混じった長髪の女の人が、
「言わせておけばっ!」
一声を響かせ、前に半歩踏み込み、帯びていた太刀に手をかけた。
と、その背後に沢山の髪を振り乱した人の影のようなものがわらわらと現れ、覆いかぶさろうとした。
「ゾイサイトっ! 後ろッ!」
残りのひとり、白髪ボブの女の人が影に殴りかかった。蹴った跡の砂埃が消えきらないうちに、その拳は影を穿ち抜いていた。襲われそうになった方は受身をとり、すぐに体制を整えた。しかし、
「……っっ!」
突いた拳は、何も無いところから突然生えた手に
掴まれていた。女の人は手を振り払おうとしたが、どうにもならないようだ。
「んっ……!」
足掻くが、手は微動だにしないらしい。
ポニーテールの女の人が掴む手に刀の刃を滑ら……
そのとき、地滑りの時のような、低音で気味の悪い声が響いた。声の主はあの女に間違いなかった……
「碎」
ぐしゃ……ボタボタボタボタッ!
一瞬のうちにボブの女の人は内側から裂けて崩れ落ちた。臓物や血が地面に叩きつけられるようにして漏れ落ちた。
「ぐっ……っ!」
ポニーテールの女の人は刀を振り切った体制で固まった。
「ぎっ、ぎょっ……玉髄……」
もう1人が青い顔をして立ち尽くす。
「ふふっ……ふふふっ……あはははははっ」
女の高笑いが地を揺さぶっている。地面から、黒い煙のようなものが湧き出てきた。3人の姿が隠れていく。視界が闇に閉ざされていく……
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さっぱりと青い小さな箱。
東の方から小さな鳥の鳴き声がやってくる。
スマホを見たが、まだ午前5時を少し過ぎたくらいだった。
あれ、いつから寝てた!?
髪留めも制服も昨日のまま、私はベッドに仰向けになっていた。
最後までご覧頂き、ありがとうございます。
完走お疲れ様でしたm(_ _)m
誤字がありました。読みにくく申し訳ございません!
善処します(*・ω・)*_ _)ペコリ
それではまた次回ヾ(o´∀`)ノ✏︎