第0坑 愛染
導入です。
मैं तुमसे प्यार करता हूँ
ヒンディー語である。インドやネパールに住んでいない限りはこういった文字を目にすることは少ないだろう。上の一文はいかにも人間らしい意味を持つ。
「हूँ」は、以外にも日本に馴染みがある文字である。「हूँ」は、今の日本で言うところの「梵字」の「ウーン」である。「梵字」が何であるかはネットやらで確認すると良い。「ウーン」は今では阿閦如来を表すとされることが多いが、ひと時代前では広く明王を表すのに用いられた
日本に空海が密教を持ち込んで約1200年経つ。今でもその教えは日本各地で息づいている。元である中華では廃れてしまったが、日本にはまだ生きている。ここではそれを美化、または賛美する目的では語らない。
密教は仏教の一形態ではあるが、釈尊のその教えとは少し違っている。インドから伝わるマントラ(真言または呪)が盛んに唱えられ、手にはムドラ(印)を結び、呪法を執り行い、現世にある内に利益や悟りを得るという教え。読者の中には忍者がしている場面を見たことがある人もいるだろう。そのようなイメージを持ってもらうとやり易い。
マントラはサンスクリット語であり、古代インドの言語である。それが今日の日本において呪文として用いられているというのは、スペインで「ハポン(日本)」という地名が見られるように、インド人にとっても感慨深いものであるにちがいない。
密教の法でありながら、陰陽師や禅僧などにも使われる呪法。呪術の国とも言える日本国での浸透は非常に早かったように思われる。呪とは言いながらも、目的は多岐にわたる。敵の調伏、恋愛成就、無病息災等、上げればキリが無い。
物語はこれが実際に効果を示す世界線であることを前提とする。
全ての物に神仏が宿るこの国ではいかなる因果も意味をなし、また意味をなさない。これがどういうことかという詮索はこの理によって時間の無駄であることが明らかとなる。
繋がるようで繋がらない……それを「空」とするかどうかは
しかるべきものの思いのままである……
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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