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あらすじだけ企画

ツンデレ令嬢はライバル令息を愛で倒す(短編版)

アカウントがなくても感想は書き込めるようにしておきますので、気になったことがありましたらどしどし書き込んでください!

 キャロライナ・テンプトン(愛称キャリー)は、代々錬金術でなりあがった商家のご令嬢。回復薬を作るのが大の得意で、学園内でも重宝されている。恋に恋する乙女で、いつか素敵な王子様に舞踏会でプロポーズされることを夢見ている。

 そんなある日、友人の令嬢に誘われて参加した仮面舞踏会で一人の青年と意気投合する。一夜限りの語らいで関係が終わることを惜しんだ二人は、「再会」の花言葉を持つ花をあしらったものを肌身離さず身につけようとこっそり約束して別れる。


 再会を願い、学園内を歩き回って青年を探すキャリー。青年の正体は、なんとライバル商家と噂の嫡男ウィリアムだった。キャリーは相手の名前を伏せて家族に恋愛相談する。


「私、恋をしてはいけない人に恋をしてしまったわ!」

「相手は犯罪者なのか?」

「いえ、違いますわ」

「なら王太子?」

「いえ、それほど身分は高くありませんわ。どうして私はキャリーなの……およよよよっ」

「よしよし、泣かないでキャリー」(問題ないのでは……?)


 報われぬ恋に苦しみながら学園生活を過ごすキャリー。聞こえてきた噂によれば、男子生徒は武器訓練が必須らしい。訓練は過酷で、よく生傷を作っては痛みに顔を顰めている。

 好いた人が苦しんでいるのを見過ごせるはずもないキャリー。せめて回復薬だけでも贈りたいが、敵に塩を贈るなど言語道断(と勝手に思っている)そこでキャリーは考えに考え、ついに閃いたのだ。


「『あなたの為じゃない』って明言しながら渡せばいいのよっ! 私、天才だわ! 勝った!!」


 ツンデレな台詞を吐きながら敵に塩を贈るキャリー。

 作戦が上手くいったことで、味を占めた彼女はツンデレを演じていく。これまで身分もあって表立って止められなかった虐めを解決したり、ウィリアムに貢いだりしていきながら、ツンデレめいた台詞を叫ぶ。最初は困惑しながらも次第にそれを生暖かい視線で見守る周囲と家族。誰も何も言ってこないからバレてないと思うキャリー、そんな光景を見て真っ赤な顔を俯かせて肩を震わせるウィリアム。


 そんななか、ウィリアムが「再会」の花飾りを身につけている令嬢Aと親しげに話しているところを目撃してしまう。令嬢Aは虐めや数々のトラブルを起こしている人物であり、キャリーを目の敵にしている悪いやつだった。視線に気づいた令嬢Aが後日キャリーに話しかける。


「踏み台ご苦労さま。あの花飾りを身につけただけで彼ったら私を貴方だと信じ込んでいるみたい。本当に馬鹿な男で助かったわあ! 彼と正式に婚約したら、まず真っ先にあなたの商会を潰させるわ。それから、彼の家を利用し尽くしてやるの。ハンカチでも噛み締めて見ていることね、おーほっほっほ!!」


 令嬢Aは高笑いをしながら、仮面舞踏会で二人の会話を盗み聞きし、悪巧みをしていたことを説明していく。

 言われてみれば、やけにこちらを見てくる御令嬢がいたことをキャリーは思い出す。ショックを受け、嫉妬に駆られるキャリー。かといって、大声で名乗りあげるわけにもいかない。

 せめてもの意趣返しとして、「再会」にちなんだ花を回復薬に混ぜ込んだり、香水として使ったりするが、ウィリアムが気に留める様子もない。


 ウィリアムの婚約話が持ち上がり、キャリーの前でこれ見よがしにしな垂れかかる令嬢A。これまでの悪事をキャリーになすりつけていく。屈辱に震えるキャリーを庇ったのは、ウィリアムだった。


「これまでの数々の悪行は既に上へ報告済みだ。処分は追って知らされるだろうが……最も厳しいと噂の修道院に送られるだろうな」


 目を丸くするキャリーをよそに始まる断罪式。令嬢Aは反論の槍玉としてキャリーを攻撃するが、これまで助けて(ツンデレって)きた人たちがキャリーの事を庇う。捨て台詞を吐きながら連行されていく令嬢A。


 事態を飲み込めないキャリーにウィリアムはネタバラシをしていく。仮面舞踏会以降、キャリーが突然ツンデレってきたこと。キャリーだと気づいていたが確信がなかったこと。令嬢Aが騙っていたこと。さりげなく「再会」の花を使ってアピールされたことで確信したこと。全てがウィリアムに筒抜けだった。

 なんと、屈辱に肩を震わせていたのではなく、笑いを堪えていたのだ。


「俺のために毎日回復薬を贈ってくれていたことは知ってる。ようやくお礼を言えるな、ありがとう」

「バレてましたの!?」

「なんでバレてないと思ったの……?」


 ウィリアムの婚約相手はキャリーであり、学園を卒業してから申し込むつもりだったが令嬢Aが嗅ぎつけて勘違いしていた、と語る。


「でも、私たちの家は対立していて……!」

「対立していたのは祖父母の代だよ。君の父親からは『キャリーが望むなら』と了承を貰っていたんだけど」

「わ、私の勘違い……!?」


 全てが筒抜けだったことに顔を真っ赤になるキャリーにウィリアムはプロポーズする。周囲から祝福されながら二人は幸せなキスをして終了!!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] どうも。 「こういう王道がいいんだよ」層の人です。 王道を王道で書くってけっこう難しいと思うのですよね。 ですけどこちらの作品、最初から最後まで王道ど真ん中を突っ走って、いえ、優雅に歩いて…
[良い点] キャリーが勘違いして突っ走ってるところが、カワイイです! ウィリアムが実は全部知ってたってオチは結構好きですね。 要所要所の気になる点がきちんと回収されてて、面白く読めました。 [気になる…
[良い点] うん、王道でシンプルながらも可愛らしくて、いいんじゃないでしょうか(笑) 忌憚のない意見を申し上げますと、驚きとかオリジナリティとかは全く見当たらないのですが、これはこれで良いと思います。…
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