第七十五話 魔王対デリラ⑤解せぬ
ん?
そういえば、この一連の騒動の根幹には、『対話ありき』であったな。
一番最初の不死軍団から、ダンメツ・ダンサツ両名とすら、最後は対話による平和的解決であった。
そうか、解決のために必要と思われるヒントは、既にデリラから受け取っていたのであるな。
悩む時間は、十分に貰った。
考える時間もあった。
で、あれば、やはり実行に移すまで、であるな。
◇
デリラ・・・は、すぐには呼び出しには応じてはくれんだろうな。
ここは、振出しに戻るようだが、仕方あるまい。
「カーミラ。お前と改めて話し合いがしたい。」
「あらぁー、魔王様から来るだなんてぇ、意外だわぁー」
語尾の端々にからかうような響きはあるものの、表情は驚いたようには見えるな。
だが、回りくどいようだが、これは必要な過程である。
「先ずは、応じてくれたことに感謝しよう。」
「まぁ、素直なのねぇー 本当に珍しいわぁ!」
「吾輩だって、事ここに至れば、素直にだってなるさ。」
「ふーん。もう少し悩んで欲しかったのにぃー
つまんないわぁ。」
うわ、コイツ今ガチでつまんないって言いやがったぞ!
だが、ここで頭に血を昇らせていては、話し合いが進まん。
「コホン。前置きはこのくらいで構わないだろうか?」
「へぇー。本当に今回は素直なのねぇー」
ニヤニヤしながら下から覗き込んでくるな。
「真面目な話しである。」
そう一言だけ断りを入れてから、カーミラに告げる。
「今回の、そうだな、二回目となる大規模なストライキの原因についてだ。」
カーミラの口角がニィっと吊り上がる。
「・・・改めて問う。
原因はなんだ?
教えてくれ。」
カーミラの目が限界まで見開かれる。
何をそれ程までに、驚く必要があると言うのであろうか?
「呆れたのよ!!」
「へ?」
解せぬ。
カーミラから、何故か目いっぱい怒られてしまった。
一時間お説教コールというヤツである。
吾輩が素直に質問したというのに・・・。
解せぬ。




