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魔王ゲオルグのストライキ奮闘戦線異状アリ!  作者: 所天駄
第一章 魔王対不死軍団
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第七話 魔王ゲオルグ


俺、正直に言うとデリラのこと、苦手なんだよなー。


あ、普段は吾輩って自分のことを呼んでるけど、コレって所謂『魔王らしい呼称』というヤツに拘って、対外的には『吾輩』なんて言っちゃってるけど、周囲のイメージ壊さない様に俺なりに頑張っているんだ。


デリラのヤツは、たかだか数年違いのくせに、俺より早く生まれたってだけで、年上ぶって、初めて会った時なんて


「あら? アンタどこの家の子? え?

魔王様!?

フ、フーン。

魔王の家の子だからって偉そうになんてするんじゃないわよっ!! アタシの方がアンタなんかよりも年上で、ずっと強いんだからねっ!!」


なんて因縁つけて来て、以来ずっと俺のことを舎弟みたいに扱ってたんだよな。


まあ、父上が放任主義と『子どもは甘やかしてはダメだ!苦労してこそ人の上に立てる!ガーッハッハッハッハー!』とか言っちゃう脳筋タイプの人だったから、デリラの両親は平身低頭謝ってきたけど、魔王であった父上の一言で、誰も俺を庇ってくれる人が居なくなっちゃったんだよな。


デリラもデリラで、父上から『よろしく頼むぞ!』とか言われちゃって、益々調子に乗って、俺にも色々と無茶ぶりしてくるようになっちゃって・・・・。


気の強い子って苦手だったけど、デリラはその筆頭だな。

いつも俺の気持なんか無視して、自分の気持ちをグイグイと押し付けてくる。


子どものころはそれでも仕方なかったかもしれないけど、俺が正式に魔王後継者として、父上から指導を受けるようになったころだったかな、急にデリラがしおらしくなっちゃって、似合わないスカートなんか履きだしちゃって、化粧もするようになってきた。


そりゃ、見た目だけなら、超美人でナイスバディと好みのタイプだけど、幼いころからの本性知ってるからなぁ・・・・。


最近は、時々周囲が茶化して「魔王様。デリラ嬢とはいつ正式にご婚約を発表なさるので?」なんて言ってくるけど、マジで辞めて欲しい。


デリラだって120歳、人間年齢で言うと見た目は20歳そこそこで、年頃なんだから、きっといい迷惑だって思っているんだろうな。

いつも俺への風当たりが厳しいのも、そのせいに違いない。


そうだ、誰か好きな人でもいれば、その人にアプローチするのを手伝ってやれば良いんじゃないかな。

コレは、我ながら凄く良いアイディアだ!


そうだよなー。


デリラだって、いつまでも子供じゃないんだ。

昔と違って、今ならば、大人しくさえしてれば、イイ女なんだから。

魔王という俺の地位を利用してでも、最良の伴侶を探してやらねば!!


よし、このストライキ騒動が終わったら、人間どもの国々へと宣戦布告をする予定だったが、俺の心の中では、密かに予定変更!


並行してデリラの伴侶探し!


密かにこれを第一優先事項として定めておこう。

その上で、晴れてデリラの伴侶が決まったら、宣戦布告でも、侵攻作戦でも、何でもやり放題だ!


ちなみに、何故、魔王軍が人間どもの国家へ宣戦布告をする必要があるかって?

それは、人間どもが毎回毎回、魔王が存在するというだけで、暗殺者やら冒険者集団、時には。先日の様な勇者たちを送ってくるからだ。


俺たちが戦争を仕掛けなくっても、向こうから好き勝手に攻めてくる。


そして、平和に暮らしている魔物たちや亜人種、魔人などを殺すんだ。

素材集めだの、経験値獲得だの、ダンジョン内に安置してある宝を盗みに入ってくる者たちのなんと多いことよ。


先日の『第一階層アニマル軍団壊滅事件』では、流石の俺も堪忍袋の緒が切れた。


第一階層に棲むアニマル軍団は、大蜥蜴や大蝙蝠、大鷲、大狼など、人間どもの住んでいる地域には生息していない、貴重な種類の魔獣と呼ばれる種類の保護育成に励んでいた。


中には、俺が態々遠征までして保護してきた巨大オオサンショウウオや火喰い鳥等の天然記念物級の魔獣たちまで含まれていた。


彼らの多くは穏やかな性格で、エサさえきちんと与えられていれば、ダンジョンから飛び出して、外の町や人を襲うことすら皆無だ。


それでも、『大』と冠せられるだけに、体格は通常の動物たちに比べてかなり大きく、倍以上。個体によっては5~10倍以上もの大きさにもなる。


すると、通常の動物たちよりも、攻撃力は格段に上がり、身を護るための攻撃も時には、人間どもを殺してしまう程になってしまう。


そこへ、人間どもの勇者一行が表れ、第一階層の魔獣たちを次々と虐殺して回ったのだ。


発見が遅れた主な理由は、俺が近隣の魔王城へ勇者対策会議に出かけている隙をつかれる形となってしまい、他の者たちも、初動が遅れてしまったらしい。


だが、大人しく狩られるだけのアニマル軍団では無かった。


卵を守るために、最後まで勇者一行へ牙突き立て続けたパイド・バイパーたちや我が子らを洞窟の下層へ避難させ、自らは火炎魔法の業火へと身を投げ込んだ大狼たち。


巣の下から破壊魔法を受けながらも、雛たちを守ろうと必死で反撃し続けた大鷲。

土の中へ子らや卵を産めて隠した者たちも数多くいたという。


そうやって、僅かながらも未来へ子孫を残せた者たちは少なくは無かったものの、せっかく育成して、ここまでの群れにまで育てていたのに、殺された魔獣たちもかなり居た。


ちなみに、人間の軍隊ではあるが、全体の一割も戦闘不能になると「撤退」することもあるというのに、アニマル軍団は、ほぼ全滅してまでも、反撃を止めなかったらしい。

滅せられてしまった魔獣の中には、吾輩のダンジョン内ですら、蘇生不可能な物が多数含まれていた。


おのれ、人間どもの勇者たちめぇ。


思い出しただけでも、腸が煮えくり返るわ!

いずれ、反攻の時には、真っ先に血祭りに上げてやるから覚えておれ!


そのためにも、今は魔物どものストライキの原因を突き止め、一刻も早く侵略可能な状態にしなければなるまい。


先に短編で書いた「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」の本編です。


https://ncode.syosetu.com/n5851fq/


ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。

((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス


今日は、10時、16時、19時で三話分投稿予定です。


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