第六十七話 ストライキ再発!③お手上げ
それでも、人間どもの方が、数と繁殖力に勝り、エルフやドワーフ、獣人などの亜人にまで手を出してでも、繁殖しようとする。
まるで、この惑星に寄生している病原菌ではないか。
浅ましく、悍ましい限りであるな。
我々魔族は魔力が強く、長寿故に、繁殖力と数で人間どもに及ばぬ。
数の暴力は理不尽なまでに、我らの同族や魔物を刈り取り続けている。
それは、今現在でも変わってはおらぬ。
吾輩のダンジョンでは、人間どもとの戦闘をしなくとも、表面上は共存が図れるのかもしれぬが・・・。
果たして、この仮初の共存はいつまで続けられるのであろうか。
明日にも破綻してしまうやもしれない。
いや、今、この瞬間にも起こりうるのである。
吾輩たちが、魔族であるというだけで、だ。
そんな風に思考を巡らせておると、バトルジャンキー二人組の意見の方が正しく思えてしまう。
「魔王様・・・。」
デリラが心配そうに覗き込んでいる。
気が付かない間に、それなりの時間考え込んでしまったようである。
「大丈夫だ。
少し考えてただけだ。」
「それならよろしいのですけど・・・。」
闇竜人族のドアーク、巨大オーガ種ガーグ二人から話を聞いた。
やはり予想以上に二人の悩みは深刻であった。
二人は戦闘種族であることに、高い誇りを持っている。
それもあり、テーマパークのアトラクションと同じ真似はできないと。
だが、吾輩としては、なんとしても、殺し合いをしなくとも済む選択肢を選んでみたい。
しかし、そのために、これまで忠義を尽くしてくれた両名や二人の眷属たちを切り捨てる真似もしたくはない。
究極の決断を迫られている思いである。
「魔王様。」
「なにか、良い秘策でも思いついたのか、デリラよ。」
これまでも、何度もデリラのアドバイスで助けられてきた。
今回も、何か吾輩の思い浮かばない秘策でも捻りだしてくれるのではと、期待してしまう。
「いいえ。すみません魔王様。」
「であるか。」
心からすまなそうに、俯き加減で謝られてしまった。
吾輩もデリラに頼り過ぎていたのであろうな。
今回ばかりは、本当にお手上げである。




