第六十五話 ストライキ再発!①武闘派
そうやって、吾輩がデリラと共に、魔族全体とはゆかなくとも、少なくとも、我らがエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮内の配下たちの意識改革に取り組んでいた最中であった。
「魔王様。」
「今度は何だ?」
「ハイ。オーガやサイクロプス、リザードマンや獣人族など武闘派と呼ばれる種族が、四天王のドアーク、ガークの二名と共に、一斉にストライキへ突入しました!」
「えっ!
それは一体、どういうことだ!?」
エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮に居る四天王。
闇竜人族のドアーク、巨大なオーガ種のガーグ、吸血鬼真祖のカーミラ、ダークエルフ族の闇大神官アルビダ、この四名が、吾輩直属の四天王である。
これまでは四天王のうち、ストライキに加わっていたのは、一人も居なかった。
我輩と話し合えとは、配下に指示したものの、明確にストライキへ参加する者は居なかったのだ。
先のカーミラのは、我輩の困った顔見たさゆえの、云わば一時的なおふざけであろう。
だから、ノーカウント。
そして、今回突如反旗を翻したのは、闇竜人族のドアークと巨大なオーガ種のガーグであった。
この二名は、はっきり言えば『超脳筋』。
良く言えば、武闘派。
悪く言えば、力こそパワー!
脳まで筋肉詰まった格闘馬鹿。
ゆえに、これまでエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮の運営に関して、一切不満らしい不満は出していなかった。
むしろ、先日の勇者襲来の時も「何故、我らに先陣を切らせて下さらなかったか!」と激怒してたくらいで、次回は君たちに頼むねって言ったら、喜んで引き下がった連中である。
生まれながらの戦闘種族であり、常に戦いを求めるバトルジャンキーである。
何故、そんな戦闘好きな連中を、第一階層に配置しなかったのかって?
そりゃ、最終兵器を初手から出す馬鹿はおらぬであろう?




