第六十話 魔王対絶対勇者⑨ゴールディ(勇者)一行の末路
冒険者ギルド兼酒場での出来事であったという。
「ゴールディちゃん。居るかしらー?」
「あ。アリア姐さん。どうでしたか!?」
「おう。お前たち。顔貸せ。」
「「「「・・・へ?」」」」
ダンサツことケンタロウがゴツイ両手をペキペキ鳴らしながら、ゴールディの顔をムンズと掴むと、二階にある部屋の一つへ、一階からポーンと投げ込んだ。
見事なカーブを描いて、頭でゴツンと扉を開け、そのまま部屋へと吸い込まれるゴールディ。
「あなたたちも、ちょっとOHANASHIがあるのよねー」
ニコニコしてるだけなのに、凄まじい圧を感じさせるダンメツことユーリ・アリアを前にして、一言も発することなく、二階の部屋を指刺した姿に、一も二も無く、コクコクと首振り人形の如く頷くや、超猛ダッシュで部屋へ飛び込む勇者一行たちであった。
「お騒がせして悪かったわねー
どうぞ、続きを楽しんで行ってね。」
一階酒場でたむろしていた者たちは、一様に背筋に冷たいものを押し当てられたような錯覚を感じたと言う。
そして、皆が口をそろえて言った。
「きっと、土下座しても許してもらえないようなくらい、怒らせちまったんだろうな・・・。」
と。
それから数日間。
ゴールディたち勇者一行は、依頼を受けるどころではなくなり、一様に魂が抜けきったような、青ざめた姿でガクガクと震えている姿が目撃されていたという。
哀れ。




