第五十三話 魔王対絶対勇者②ダンサツ・ダンメツ
モニター越しに音声が聞こえてきた。
「「「「我等は、エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮が支配者、魔王ゲオルグ様が直臣、四天王である!」」」」
お。登場はなかなかにかっこいいな。
「四天王頭脳担当。ダークエルフ闇大神官アルビダ!」
アルビダは、邪神系の魔法や技術研究などが特異なダークエルフ族の闇大神官だ。
別名は研究ヲタク。
ハイ・ダークエルフであるデリラと若干被るが、性別は男性だ。
「四天王お色気担当ぅー。じゃなくってぇ、不死軍団担当、吸血鬼真祖のカーミラよぉん♡」
毎度おなじみ、こんな時でもボケを忘れずにかましてくれたカーミラ。
「四天王力担当。オーガ族ガーグ。」
「四天王暴力担当。闇竜人族のドアークだ。」
この二人は、本当に質実剛健だな。
無駄な言葉は発せず、じっと相手を隙なく観察している。
「ほう。こんなダンジョンでも、名乗りを上げる馬鹿どもがいるのか。
では、一応名乗ってやる。ケンタロウだ。」
ごん太眉毛で世紀末救世主かって、ツッコミ入れたくなるような革ジャン・革パンツルックの細身マッチョな男が、両手をペキパキ鳴らしながら、スゥっと構える。
「その妻。ユーリ・アリアよ。」
白い百合の花を連想させるような、ワンレン・ボディコンだが可憐で美しい女性が、こちらもまたスゥっと千手観音菩薩の様な構えを見せる。
「魔王様・・・。」
「ああ。
ダンサツ・ダンメツの二人に確定だな。」
ダンサツ・ダンメツとは、世界中に点在しているダンジョンマスター、即ち魔王たちから一目置かれ、超絶恐れられている人間たちの勇者の頂点に立つ二人組だ。
先日、吾輩が留守にして、ダンジョンが滅ぼされた対策会議へ出かけたのも、この二人の手で、少し離れたところにあったダンジョンが、滅ぼされてしまったからだ。
吾輩とデリラの二人が不在の隙に、ゴールディたち一行がやってきて、暴れまわったのは、記憶に新しい出来事であるな。
ダンサツ=絶対ダンジョン殺すマン。
文字通り、この男が通った後には、惨殺された魔物の姿しか残されていないことで、この綽名が付けられた。
ダンメツ=絶対ダンジョン滅殺するウーマン。
文字通りこの女が通った後には、以下同文。
いや。マジでシャレにならん。
こんな二人に襲撃されては、吾輩のダンジョンレベルじゃ太刀打ちできない。
一人でさえ、勝てないのに、二人組で来られたら、絶対無理だ。
竜王様や、もっとクラスの高い魔王の頂点でも、勝てるかどうかと言われている連中であるぞ。




