第四十六話 勇者到来④勇者一行の蛮行
「クリス!!」
「そんなところに居たのか!!」
「無事かっ!?」
「安心しろっ! 今助けに行くんだぜっ!!」
口々に彼女の名を呼びながら、応接室のある建物へと殺到しようとする勇者一行。
だが、吾輩の反撃は未だ始まってもいないのだが。
「おい。無礼にも程があるだろう?
未だ、吾輩と対峙したばかりではないか。
仮にも魔王と呼ばれる存在と対峙しておいて、ハイサヨナラでは済まんのだよ。」
「そうだったぜっ! まだコイツとの決着が付いてなかったんだぜっ!」
「リガルド! ここはアタイとアンタで魔王を足止めして、ゴールディとミラーにクリスの救出を任せるってどうよ?」
「おう、良いな。ソレ。」
「ダメだぜっ! 俺も加えて、三人だぜっ!
そいでもって、救出はミラーに任せるんだぜっ!!」
「ダーエ!早く召喚を終えてよぉっ!!」
「間もなくだっ! まさか魔王が出て来るなんて思わなかったんだ。
魔王相手じゃ、雑魚じゃ時間稼ぎにもならないだろ!」
勝手に、人の都合も考えずに、つべこべと煩い蠅どもだ。
「全て却下だな。人の都合も考えずに勝手に押し掛けて来ておいてのこの狼藉。
腹に据えかねた吾輩の一撃を受けきれるかな?」
「ウルセェっ! だぜっ!!
お前の都合なんか聞いていないんだぜっ!!
エクスプロージョンっ!!」
ゴールディと呼ばれる男勇者が、急に吾輩へ向けて高出力の魔法攻撃をぶっ放して来た。
「まさかっ!!」
そこへ、急に窓からクリスが飛び降りて来たかと思ったら、吾輩の前に立ちはだかったから驚いた。
「・・・・お主・・・・、一体、何を・・・・。」
勇者装備の効力か、エクスプロージョンは威力が激減し、周囲に被害は及んではいない。しかし、クリスが黒焦げで血だらけになっているではないか。
「一体何をやってんだぜっ!!
クリスよぉっ!!」
「クリスっ!!」
「そんなぁ・・・・ヒドイ・・・・。」
「早く回復魔法をっ!!」
「うん、ヒール!!」
僧侶が回復魔法を掛ける直前に。
「マジック・キャンセル!
エクストラ・ヒール!!」
僧侶の回復魔法は、吾輩によって強制的にキャンセルさせた。
その代りに、吾輩から上位回復魔法を掛けたので、クリスの傷は癒された。
未だ意識は半分くらいしか戻ってはいないようだが、すぐ目覚めるだろう。
「で? 貴様ら、ここまでの真似を仕出かして、未だ無事に帰れるなどとは思っても居ないだろうな?」
本気でブチ切れた。




