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魔王ゲオルグのストライキ奮闘戦線異状アリ!  作者: 所天駄
第五章 魔王対勇者
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第四十五話 勇者到来③勇者一行乱入!


なんて、少し頭の中で吾配下の顔と名前を思い浮かべていたら。


「クリス!! クリスはどこだぜっ!!」

「クリス! 私よっ!! ルシエラが助けに来たわっ!!

さぁっ! 今すぐ姿を表してちょうだい!!」

「俺たちも助けに来たぞっ!!」

「やい、魔物どもめぇっ!! さっさとクリスを出しやがれっ!!」

「・・・・こんな、テーマパークみたいな外見で偽装したって、俺たちの目はごまかされないぞっ!!」

「早くしないと、全部消し炭にしちゃうわよぉ~!」


何やら、表が騒がしくなっている。

人間の勇者一行と思しき連中が、大声で怒鳴り込んで来たかと思えば、既に何発かの火炎魔法やら風属性の切断魔法を使って、施設のあちらこちらを破壊して回っているようだ。


周囲には、巻き込まれたらしい来客者=人間たちが負傷したり、倒れている。

止めに向かった従業員の魔族たちも、負傷したり、手足が切断されていたりする。


「!?

何てヒドイことをっ!!」


窓から見下ろして、人間の勇者一行の蛮行を非難するデリラ。


「なんで・・・・どうして・・・・。」


その姿を、三階から見下ろしながら、愕然としているクリス。


「あやつら・・・・許せんっ!!」


吾輩はといえば、見ると同時に、素早く開いた窓から跳躍して、勇者一行の真中へ降りた。


「お前が魔王かっ? だぜっ!!」

「やい、魔王っ! 俺たちのクリスを返せっ!!」

「卑怯者の魔王っ! 大人しくクリスを返しなさいよっ!!」

「そうよそうよ!」

「面倒だっ! 殺しちまえっ!!」

「おうよ!!」


人間の勇者一行は、白銀のプレート・アーマーで身を固めた男勇者、ルシエラと名乗った大剣持ちの女戦士、鋭い眼付きの男戦士、凛々しい外見ではあるが階位は高そうな男僧侶、漆黒のローブを纏った女魔法使い、少しガラの悪そうな男召喚士の六名であった。


コイツら、吾輩が不在の時に攻め込んできて、暴れまわった連中ではあるまいか?

もしそうなら、今回の分と合わせて、ここでキッチリと落とし前を付けなければ!


吾輩から殺気が漏れ出たのであろうか、勇者一行が一斉に吾輩を敵と認識して、刃を向ける。


「ゴールディ! 戦闘作戦パターンは!?」

「無論、『ガンガンに行こうぜ!』一択だぜっ!!」

「「「「おうっ!!」」」」


白銀プレートの勇者らしき人物が、女戦士からの誰何に、応えるや否や、吾輩の周囲に包囲陣が素早く組まれた。


「なんとも、野蛮な連中だな。

挨拶も無しに、一方的に殴り込みとは。

田舎者か、チンピラどもか?」

「なぁぁぁにぃぃぃぃぃっだぜっ!!」

「このアタイらをチンピラ呼ばわりとは・・・・。

アンタ、死にな。一万回は死ね!!」

「問答無用!」


勇者と女戦士が、素早く吾輩と交差するような形で、剣戟を打ち込んで来た。

女魔法使いも、キレ気味に切断魔法を放つ。

男戦士と僧侶は、それぞれ第二撃目を狙っているようだ。

召喚士は、他の者たちが稼いだ時間で、詠唱中だ。


「ひっ!」


吾輩の身体へ斬撃が繰り出されたのを見て、クリスが悲鳴を上げる。



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