第四十一話 カーミラと吸血鬼部隊②
違う。
解決したのは、アンデッド軍団の中でも、ゾンビ部隊とスケルトン部隊までか。
吸血鬼どもは、ゾンビやスケルトンたちとは別の部隊。
アンデッド軍団とは、本来第三階層に所属する不死軍団。
つまり、吸血鬼部隊の願いは、保留または、未処理のままだったのだ。
盲点だった。
吸血鬼の真祖であるカーミラがあまりにも気軽に遊びに来るものだから、半分解決済みな気になっていた。おそらくは、今回のカーミラの願いとやらも、その辺りでは無いだろうか。
「それで、お前たちの願いとは?」
「フフ。流石は魔王様ねぇ。
私個人の願いでは無くぅ~、一族の願いだと見抜くだなんてぇ~」
お、正解だったのか。
ちょっとだけ、嬉しいかもしれない。
「そうだろうと思ったのだ。」
「そっかぁ♡クスクス。」
何故笑うし。
この辺が掴めないヤツって感じだよな。
「まぁいいわぁ~
私たち吸血鬼一族の願いはねぇ~
『他の者たちばかり、願いを聞いて貰ってズルイ!』
よぉ。」
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
子どもかっ!!
ってゆーか、具体的な願いなんて無いのかよっ!?
じゃぁ一体何だって言うんだよ。
「フフ。それじゃぁ魔王様も困るわよねぇ~?」
当たり前だっ、と!!
でも、声に出しては言えないな。
喉元迄出かかって、飲み込んだ吾輩を褒め称えてくれても構わんよ。
ふぅ。
落ち着けぇー落ち着けぇぇぇぇ、俺。
クールだ。クール。
よし。
「そうだな。具体的な願いが無いなら、それでも構わんが?」
「ウフフ。それじゃぁ芸が無いじゃなーい?」
俺としては、無くて構わないんだが・・・・。
「何か願いがあるのか?」
「簡単だわぁ。
私たちもぉー、日光浴とかぁ、太陽の下で動いてみたいのよぉ。」
「ハァァ!?」
本日最大の大声を上げてしまった。
一寸待て。
吸血鬼だぞ。
ゾンビならば、太陽の下だろうが、全天候動けると思う。
砂漠でも走ってたしな。
だがしかし、吸血鬼だぞ?
お前ら、太陽の下って・・・・。
消し炭じゃないのか?
「あー、念のため確認しておきたいのだが、その・・・・。
大丈夫なのか?」
「構わないわぁ~
本人たちからの強い要望だものぉ~
それにねぇ、私たち吸血鬼にとってぇ、太陽の日差しの下に出られるのってぇ、憧れなのよぉ~」
「そうか。」
一時間後、実証実験を行うこととなった。
何せ、吸血鬼である。
今第一階層に出入りしている客の、しかも、人間の目の前で、人が灰塵と化す光景だなんて、シャレにもならん。
そこで、人目につかない様に、地下大墳墓迷宮の普段人間が出入りしている反対側で、実証実験を行うこととした。




