第四話 アンデッド軍団の離反③
「魔王様。魔王様。」
「ン?
・・・・嗚呼。
もう一寸考えさせてはくれんか?」
副官であるデリラから、何度も呼び掛けられたのではあろうか。
いつの間にか、吾輩たちは玉座の間に戻ってきていたらしい。
吾輩の脳味噌や思考形態のキャパシティを超えたことを考えなければならず、思考停止してしまっていたらしい。
あの時、アンデッド軍団から聞かされた要求。
それは、吾輩の灰色の脳味噌でさえ、とても予想し得る内容ではなかった。
否。
予想の遥か斜め上とかそんな感じですら無く、予想を上回って、気づいたら予想の背後から突然声を掛けられたようなレベルで顎を外してしまった。
うん。
人間、自分の予想を突き抜けると顎が外れるって、本当だったんだね。
イヤ、吾輩人間じゃなくって、魔王だけれどもさ。
アンデッド軍団からの要求は、至極明解で至極難しい要求であった。
曰く「人間の冒険者たちや勇者一行が我々を見る目が文字通り痛い。」
曰く「腐り果て、この身を骨と化して迄戦う我らに、人間の視線が痛い。」
曰く「バンパイアやバンパイア・ブライドなどは、美しい容姿が保たれたままで羨ましい。むしろ妬みで『爆発しろ!』と心中常々思ってます・・・・。」
曰く「自分たちにも、死者の尊厳と誇りを取り戻して欲しいです!」
曰く「魔王様なら、そのくらいのこと、簡単に叶えられますよね?」
オイオイオイオイオイ、ヲイ!
一寸、図々しすぎないか?
だが、問題の本質は見えてきたような気がする。
「あー、デリラよ。
例のアンデッド軍団の件だが・・・・。」
「はあ、魔王様。
アレをどうなさるおつもりですか?
私には、ある程度は共感可能ではありますが、小手先の解決方法くらいしか、思い浮かびませんね。」
「うむ。いっそ、一度リセットして全部焼却滅却してしまい。
新たに迷宮内で死んだ魔物や冒険者たちを第二のアンデッド軍団とするというのではダメだろうか?」
「私もその案に賛成したい思いではございます。
魔王様。」
奥歯に何か引っかかったような物言いをするな。
他にどんな代案があるというのだろうか。
むしろ、その方が簡単である。
幸い、今回ストライキに参加している魔物たちは、それ程レベルや攻撃力の高い魔物は参加しておらず、高レベルアンデッドな吸血鬼たちは、あまり自分たちには関係なさそうだと、いつも通り第三階層の後半部分でのんびり過ごしているだけらしい。
よし、方針が決まったならば、早めにサクっと解決を図るとしよう。
先に短編で書いた「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」の本編です。
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ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




