第三十七話 ストライキは終わったものの③デリラと買い物だと!?
「分かりましたわ。
魔王様。
私服を一緒に買いましょう!」
「私服?
そんなもん吾輩には不要では無いか?」
「せっかく、地下大迷宮の敷地内に、ショッピング・モールが出来たのですから、活用なさいませんと、勿体ないですわ!」
「はぁ。そんなもんか?
我輩としては、人間どもが金を落として行ってくれるし、魔物たちが生き生きと働いてる姿が見れるだけでも、十分活用できていると認識しているのだが・・。」
「魔王様、それでは足りません!」
「はい?」
デリラの言い分によると、我輩は魔王であり、支配者だ。
そんなことは、言われなくとも分かっている。
しかし、支配者とは、ただ住民から金や物、労働力を集めるだけでは足りぬと。
集めた分を浪費してこそ、支配者として相応しいと力説されてしまった。
一寸待って欲しい。
我輩先日も、この地下大迷宮が赤字になる勢いで、化粧品などを補充していると告げられたばかりなのだが・・・?
「大丈夫ですわ!
私の服を買うのではなく、魔王様が着る服を選ぶだけですから!
今回は、日頃お世話になっているお礼と、ストライキが解消されたお祝いとして、私から魔王様へ私服をプレゼントして差し上げますから!」
「うむ。何がどう大丈夫なのやら・・・。」
我輩の服を選ぶだけであれば、女性が服を選ぶのに付き合わせるのでは無く、主役が吾輩であるから、時間も短くて済むと説得されてしまった。
結局、反論も認められず、我輩はエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮の一階部分に新設されたショッピングモールへ連れて行かれた。
「一緒に買い物へ行こう!」
所謂デートの口実ですね。




