第三話 アンデッド軍団の離反②
フム。であれば、これもまた一つの「災い転じて福と成す」というやつであろう。
などと吾輩が考えていたら・・・・。
「魔王様!
我らアンデッド集団は、日々、我らがエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮と魔王様を守るべく、第三階層にて、勇者や冒険者、墓荒らしなど、数多の外敵と戦ってまいりました!」
「ウム。それは、吾輩や戦友たちの記憶にもしっかりと刻まれておるぞ。
お前たちは、本当によく、エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮と吾輩たちを守ってくれている!
特に、先日の勇者一行による第一階層アニマル軍団壊滅戦では、近年稀にみるほどの危機的状況であったが、最後はお前たちアンデッド軍団の活躍により、退けることが出来たのだ。」
勇者一行による第一階層アニマル軍団殲滅戦は、近年では稀にみるエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮にとって危機的な状況であった。
人間側の勇者一行の構成員は、勇者、戦士、戦士、僧侶、魔法使い、召喚士、何故パーティーに含まれていたのか不明だが遊び人、盗賊を含む総勢十八人が、八日間に渡って迷宮内に泊り掛けで第一階層のモンスターを、自分たちはほぼ無傷で殲滅してしまったのだ。
それに気を良くしたのか、勇者一行は、補給もせずにビースト軍団が待ち構える第二階層へ降りてきて、ここでも階層の半分までを攻略し、更なる深層を目指して第三階層迄攻略しに来たのだ。
だが、第三階層の階層主である真祖カーミラ率いるバンパイア・ナイツと無限増殖が可能なゾンビ軍団による数と不死身の暴力により、手傷と召喚獣一体を失うという損失が重なり、已む無く撤退していったのだ。
「あの戦いでは、勇者一行にも深い手傷を負わせ、奴らの召喚魔獣であった火蜥蜴をアンデッド軍団に組み入れたのは、痛快であったな。」
呵々と笑う吾輩に、アンデッド軍団も心から愉快そうに笑顔を浮かべていた。
ちなみに、勇者一行から奪ったかつて火蜥蜴であった召喚獣もまた、死大蜥蜴へと変わり果てたがアンデッド軍団の新入りとして、溶け込んでいる様子であった。
「ハハっ。
過分なお褒めのお言葉を賜り、恐悦至極に存じます。」
吾輩は、ウムと頷いて応えるのみに留めた。
「して? お前たちの望みはなんだ?
申してみよ。」
「ハっ!
恐れながら申し上げます。」
死んだ魚の様な瞳に、心なしか僅かながら希望の光を輝かせながら、代表となったゾンビ少女が腐りかけの唇から、アンデッド軍団の陳情を伝えてきた。
先に短編で書いた「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」の本編です。
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ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




