第二十七話 ゴーレム部隊の離反④解決編
「ゴーレムどもよ。」
「「「「「我が主。魔王様。」」」」」
吾輩は、再びゴーレムどもの待つ第四階層へと着ていた。
今日は、副官であるデリラとゴーレムどもの製作者であるドワーフ職人たちにも
同席させた。
「お前たちの言い分は、良く分かった。」
ここで、言葉を区切る。
「そこで、吾輩から、お前たちに命じる。
我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮内で、困った者が居れば、それを助けてやれ。だが、助けてやる対象となるのは、無垢なる者や我らに対して、あまり敵対しなかった者に限る。」
「「「「「っ!?」」」」」
ゴーレムどもや同席したデリラ、ドワーフ職人たちから動揺が見て取れた。
だが、吾輩が妥協できるのはここまでだ。
勝手に侵略してきて、勝手に死ぬ者たちにまで、掛けてやる慈悲は無い。
しかし、荷物運びのためのポーターや迷宮内での探索に、カナリヤ代わりとして連れて来られることがある子供たちは別扱いしても構わないだろう。
カナリヤ代わりとは、鉱山では無味無臭の毒ガスや一酸化炭素など、危険な物で満ちている場所へ、生身の人間が入っては、死んでしまう。
そこで、身代わりにカナリヤなどの小鳥の入った籠を先頭に掲げて行くのだ。
カナリヤが鳴いていれば、その場所は安全だが、鳴き止んだ時には、危険な場所だと分かる。
非道なる人間どもの中には、年端の行かない子供を魔物の巣へ同伴して、先頭を歩かせる。子どもが魔物に襲われている間に、自分たちが攻撃するか逃げるのだ。
やはり、見ているこちらまでもが、胸糞悪い。
そこで、今回の騒動を転じて、ゴーレム部隊には、『ガーディアン』との『称号』を与え、ダンジョン内で困った人が居たら、助けてやることを命じたのだ。
「「「「「我が主。魔王様。
永久に変わらぬ、忠誠を。貴方様に。」」」」」
どうやら、吾輩が出した答えに、ゴレーム部隊は満足してくれたようだ。
吾輩が満足気に頷いていると、最年長の職人ドワーフの一人が、吾輩の袖をクイクイと引っ張る。
「ついでに、魔王様よぉ。
俺っちたちにも、ちぃーっとでイイから、融通図ってくんねーかな?」
「融通とは一体?」
ドワーフたちの悩みとは、また一体なんだろうか?
「俺っちたちもよー、ゴツイゴーレムばぁーっか造り続けて来てよぉー
一言でいえば、飽きてきたんだわ。」
少し言いずらそうに、下から吾輩の顔を覗き込んでくる。
イヤ、髭面のオッサン顔したドワーフから顔色伺われても、ちっとも嬉しくない。
だから、要件を早く言え。
「たまには他のモンも作ってみたいんだぁな。」
なんだ、そんなことか。
「分かった。お前たちの趣味で好きな物を作ることを許可しよう。」
「「「「「ヤッタァーーーーーーっ!!
キタコレーーーーーーーーっ!!
魔王様公認だぁぁぁぁっ!!」」」」」
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
少しだけ書き溜めることができたので、公開してみました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




