第二十五話 ゴーレム部隊の離反②戦い疲れ
イカンイカン。
ついつい、デッカイゴーレムどもに囲まれて、現実逃避してしまったようだ。
「あーとりあえず、ゴーレム部隊の代表と話がしたい。」
気を取り直して、更に呼び掛ける吾輩に、5m程のゴーレムが恭しく一礼をして応えた。
「我が主。魔王様。
ようこそ、第四階層へ。
代表のストーンゴーレムのシュタインです。
お話し、歓迎します。」
このゴーレムは、言葉は少なく、表情にも乏しいが、知性は高いようだ。
「ウム。それで、吾輩は煩わしいのは嫌いなのだ。
単刀直入に聞こう。ゴーレム部隊の諸君の要求とはなんだね?」
「賢明なご判断です。我が主。魔王様。
我等ゴーレム部隊の悲願をお聞きください。
そして、叶えてください。
さすれば、我等はこれからも魔王様の忠実な僕です。」
そう言って、代表ゴーレムのシュタインは吾輩に悲願とやらを伝えてはくれたんだ、が。
うん。
吾輩、そろそろ魔王引退して、一魔族に戻っても良いかな?
ムリ。
今回ばかりは、絶対にムーリーだぁーかぁーらぁー!!
ゴーレムどもめ、ナニアレ?
不満。
『人間との戦い疲れた。』
ほぁぁっ!?
またかよ!?
お前ら、『魔物』だよな?
でもって、命なんぞ無い、無機物だよな?
吾輩の配下であるところの、ドワーフ職人謹製の、ブリキやら岩やら木なんかを使っただけの、ゴーレムだよな?
ナニ抜かしとんじゃぁぁぁぁぁぁぃっ!!
交渉の場で、思わず吾輩も聞いたさ。
「お前たち、命が無いのに何故だ!?」
「命が無いから、こそです。
いつまでこんな、ルーチンワークを、続けさせられるのか。
そう考えれば、考えるほど、不満に。
で、ございます。我が主。魔王様。」
その後も、表情を崩さずに、同じ顔で淡々と、一方的にこれまで潰したり、粉砕、圧殺、撲殺、焼殺、絞殺、磔刑等々の残酷な方法で殺して来た侵入者どもの末路を聞かされては、吾輩とて若干思うところはあった。
だが、仕方が無いではないか、人間どもとは、ダンジョンがあれば侵入してくる存在だし、吾輩たちにしてみれば、護るべき我が家なのだ。
我が家に、不埒な輩が侵入して、家財を荒らし、仲間の命を脅かすのであれば、それらを排除しなければならない。
この不文律の前に、例外は無いだろう。
今回こそは、ストライキ集団と化した魔物どもへの返答として、最初の「No」を突きつけねばなるまい。
それで、一部のゴーレムどもや魔物どもが反発するなら、そこまでだ。
吾輩とて、いつまでも、こんな茶番に付き合ってなぞいられんのだ。
一刻も早く、人間どもと決着をつけ、魔族に平和を齎すのだ。
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




