第二十四話 ゴーレム部隊の離反①
「魔王様。」
「どうした、デリラよ。」
「現時点で、我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮は、第三、第五階層が、魔王様のご活躍により、ストライキを止めました。
が、未だ未だストライキ中の階層が多く、人間どもを招き入れることが出来ません。
かろうじて、迷宮入り口付近にて、ゾンビ部隊を中心としてカフェを開いてはおりますが・・・・。
本来の業務に支障を来たしまくりです!」
「ウ、ウム。」
「そこで、魔王様には、ゴーレム部隊の説得へ行っていただきます。」
「何故ゴーレム部隊なのだ?」
ゴーレム部隊。
寡黙にして、質実剛健。
木・鉄・石・岩等々、様々な素材から作られる命を持たない身体に、魔法で疑似人格を植え付けて、迷宮内を守らせている部隊だ。
巨大なモノは、15メートル程の人が乗れそうなモノから、小さなものは、昆虫型のゴーレムまで、様々な種類や形がある。
「・・・・吾輩、若干だが嫌な予感がするのだが。」
「魔王様。先ずは彼らの言い分を聞いてあげてくださいませ。
悩むのはそれからでも遅くはございませんわ。」
「ハァ・・・・。」
誰か、吾輩の代わりに魔物どもの悩みをまとめて聞いてくれれば良いのに。
そして、ついでに、その悩みも解消してくれれば、吾輩の悩みが解決するのだがなぁ。
一体、いつになったら、我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮は、人間の勇者どもを迎え入れて、蹂躙してやることが出来るのだろうか?
とりあえず、副官のデリラに言われた通りに、第四階層へ出向いてみた。
ここは、山岳地帯や森をイメージした階層で、所謂岩系の魔物、主にゴーレムたちが縄張りにしている階層でもある。
ちなみに、我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮では、ゴーレムはドワーフら職人たちが作成しては、階層へ放っているため、自然発生した魔物では無い。
それなら、製作者である職人ドワーフらから、命じて貰えば良いと考えるかもしれないが、基本的には、『疑似人格』と呼ばれる独自の魔法技術で生み出されているので、それぞれが、自立してしまったゴーレムには、自壊も含めて命令は難しいらしい。
だが、自分たちの住処でもある地下大墳墓は、優先的に守ってくれるし、魔物同士では、争ったりしない様には出来るらしいから、不思議なものである。
そんなことを考えながら、第四階層の山岳部へ向かって声を張り上げた。
「い出よ! ゴーレムどもよっ!!」
吾輩の力強い呼びかけに応じて、ぞろぞろと大小さまざまなゴーレムどもが出てくる出てくる。
アレ?
こんなに多かったっけ?
流石に、身長3mの吾輩でも、5m以上上から見下ろされたり、ましてや、15mとか、いや、流石に・・・・・!?
誰だっ!!
身長100mもあるデッカイゴーレムなんぞ作ったヤツは!!
後で文句言ってやるっ!!
こんなん、絶対にウドの大木とか、動きが致命的なまでにノロイとか、疑似人格とはいえ、トッポイヤツに決まってるじゃないか。
設計段階から、致命的なまでのミスに気づけよ!!
昔っから、『大艦巨砲主義』とか、『デッカイことは善いことだ』では、ロクなことにならんと相場が決まってるんだからな。
あーあ、ホラ、見ろ。
言わんこっちゃない。
いくら高い天井とはいえ、頭がぶつかりそうになる。
前かがみにならないと歩けないじゃないか。
一歩動くのにも、すっごく時間が掛かっているじゃないか。
コリャダメだな。
実戦投入前に、チェック出来て良かったと思おう。
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス
夜にもう一話投稿予定です。




