第二十三話 スライム部隊大活躍!
後日談。
「それで? 最近のスライムたちの様子はどうなんだ?
落ち着いて働いてくれているのか?」
「ええ。すっかり彼らも元の持ち場へ戻りました。
ついでに、最近では、人間の町や村へも出張しているようですわ。」
「出張・・・・だと?」
ハテ?
人間の町や村へ出張とは、どんなことをしに行っているというのであろうか?
スライム部隊には、我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮内での敵性勢力排除と掃除という環境整備の二大任務があるではないか。
まさか、わざわざ人間の集落を襲撃しに行っているとでもいうのか?
だが、彼らは「生きたままの人間を消化吸収したくはない」と陳情していたではないか。
サッパリ想像がつかん。
「で?
一体何の要件でスライム部隊が人間の町や村まで出張なんぞヘ行っているというのだ?」
「掃除、でございます。」
「へ?」
「ですから、人間どもから掃除の仕事依頼が来ておりまして、特に特殊清掃などではスライムたちの右に出るものが居ないそうです。」
「だ、だが、スライムたちがそのまま人間どもの前へ姿なんぞ表したら・・・・!?」
「魔王様。お忘れですか?
彼らスライム部隊の特殊能力を。」
「特殊能力・・・・!!」
思い出した。
というか、指摘されるまでは、忘れていた。
スライム部隊が持つ特殊能力の一つに、『消化吸収した獲物の生き写しに化けることが出来る』というのがあったっけ。
しかも、ただ化けるだけでは、家族や知り合いに見つかってバレてしまう危険性がある。
そこで、スライムたちが編み出した特殊能力が、まるでモンタージュ写真みたいに、獲物の顔の形や目の色などを組み合わせて、全く新しい人物を生み出すことが可能なのだ。
たとえば、少女の死骸と猫や猫型のモンスターなどを捕食した場合。
少女の特徴を残しながら、猫耳を付ければ、ネコ耳少女の誕生である。
スライム、何気にこの特殊能力のお陰もあり、万能選手である。
「そうか、人型に化けて、集落へ潜入しているのだな。」
「ご慧眼、お見事です魔王様。」
イヤ、指摘されるまで忘れていたんだけどね。
あえては言うまい。
そうか、ゾンビ部隊に続いて、スライムたちまでもが人間社会と関わるようになっているのだな。
まあ、これもある意味では外貨獲得であろうから、目くじらは立てずに見守ることにしておこう。
ゾンビ部隊同様に、いずれは地下大墳墓迷宮の運営費用が稼げるようになるかもしれないからな。
魔物日記~其の3~(スライム:※人型に変身後記したもの)
今日は、魔王様がきた。
魔王様が我らに「今後スライム部隊は、無理をして生きたままの人間や敵対する者たちを消化吸収する必要は無い。その代り、これまで通り、エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮内での清掃活動には従事に戻って欲しい。」と命令された。
魔王様万歳!
追伸ー人間の町から、清掃員として来て欲しいと沢山の仕事依頼が来るようになった。
なんか、お金もいっぱいもらえるようになった。
使い道無いからって、渡したら、魔王様とアンデッド軍団が喜んでた。
なんか良いことしたなって気分になった。
これからも清掃活動頑張ろう。
※モンタージュ能力は、あくまでも、本作品におけるアイディアであって、他の作品に登場するスライムさんたちとは、異なるかもしれませんがご了承願います。




