第二十一話 スライム部隊⑦適材適所
「あ。魔王様だっ!!」
「魔王様ぁーーーーっ!!」
「魔王様っ!!」
あれ?
先程までは居なかったオークやゴブリンどもが集まっている。
口々に吾輩に頭を垂れて挨拶してくるな。
ウムウム。
「ウム。皆大義である。」
「「「「「ハッハーーーーーっ!」」」」
その場に集まった者たちが一斉に頭を垂れて、片膝を付ける者は地面に片膝を付いて臣下の礼の姿勢を取った。
「お前たち、最近はどうか?」
「ハイ。魔王様。
オラたちはすとらいきとやらには参加してねーでがんすが、近頃、スライムさんたちが清掃してくれなくて、身の回りが臭くて臭くてたまらねーでがんす!」
ちなみに、語尾にがんすが付いてる方が、オークども。
「お前たち・・・・。
少しは自分たちで掃除でもしろぉぉぉーーーっ!!」
「ハァ。魔王様。オラたちは、これでも誇り高いオークやゴブリンでやんす。
自分たちでも掃除しようと悪戦苦闘ばしやした。
でも、やっぱダメでやんした。」
「お前たち・・・・。」
やんすがゴブリンどもな。
一体何をどうすれば、掃除そのものを挫折するというのだ?
吾輩であれば、不要になったゴミやクズは、爆裂魔法一発でも放てば、周囲数百メートル単位で奇麗サッパリ灰燼と化するのだがな。
この方法であれば、建築物だろうが、敵兵の集団であろうが、勇者一行でも、レベル差が開くほど大ダメージを与えたり、上手くすれば一発でパーティー全滅に追いやることも可能だ。
欠点は、二度と使い物にはならぬということだ。
リーサイクールとやらにも出せなくなってしまう。
地形が変わり、一切合切が消し炭になるのだからな。
「オラたちだって掃除しようとは頑張ったんでがんす。
だけんども、掃けば掃くほど、ゴミは散らかってしまうんでがんす。
集めようと思って塵取りば使おうとすれば、ほんの僅かな塵を収めた途端にクシャミば出てしまって、とっ散らかっちまうんでがんす。」
そうか、オークどもには、豚の様な鼻が出っ張って付いていたな。
豚の鼻は、時に地中に埋まっている状態のトリュフを探すのにも用いられるほど敏感だと言う。
腰を曲げて、床に近づけると、余計に敏感な鼻に埃が入ってしまい、クシャミが出ると。
成程。彼らが掃除に向いていないと言う事情が良く分かった。
適材適所が必要だな。
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
少しだけ書き溜めることができたので、公開しました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




