第十五話 スライム部隊①
我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮のストライキは未だ続いている。
アンデッド軍団から、美女美少女と化したゾンビ部隊が中心となり、ダンジョン入り口付近の土地に、ダ・レ・トール・コーヒーという名のカフェが開店したのだが、肝心のダンジョン入り口には、未だにストライキ中で閉鎖の札が下がったままである。
『労働協約の改定に係る要求に関し、今後の交渉によって解決できない場合には、 当面の間ストライキを計画している旨の申し入れを受けており、計画通り実施されれば終日閉鎖となります。
当方では、ストライキを回避すべく、魔物たちと今後とも鋭意協議を続けてまいりますが、万一ストライキが行われた場合、勇者一行、冒険者、墓荒らしの皆様はもとより、関係の皆様方に多大なご迷惑をお掛けすることになりますことを深くお詫び申し上げます。
尚、苦情、ご相談窓口として当迷宮最高責任者である魔王本人が担当者となります。
エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮
ゲオルグ・イング・ボルグ2世』
さて、次はドコから手を付けたら良い物やら・・・・。
ハァ。
吾輩が溜息をついていると、副官であるデリラが声を掛けてきた。
「恐れながら、魔王様。」
「なんだ?」
「次は、スライム部隊など視察為されては如何でございましょうか?」
「ウム。だが、あの連中こそ、何が不満だと言うのだ?
吾輩には、ちっとも連中が何を考えているのか分からんぞ!」
「大丈夫です。
心さえ通じれば、スライム部隊は、悪い連中ではございません。」
「そうなのか?」
それ以前に、人類と敵対している『魔王』とその部隊である時点で、我々は『悪者』ではないのだろうか?
こんなところで、自分のアイデンティティーについて、再度考えさせられるとは。
スライム部隊。恐ろしい子。
であるな。
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス
夜にもう一話分投稿予定です。