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魔王ゲオルグのストライキ奮闘戦線異状アリ!  作者: 所天駄
第一章 魔王対不死軍団
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第十一話 アンデッド軍団との対話③

 

必死の吾輩の説得が通じたのか、マリイがようやく本音を聞かせてくれた。

長かった!

本当に、ここまでが長かった!!

                          

「私たち、いつも勇者や冒険者たちと戦うじゃないですか?」

「うん。そうだな。」

「彼らって人間ですよね。

もしくは、亜人などの人間に近い容姿の者たちですよね・・・・。」

「うんうん。

そうだな。」

「そうすると・・・・。

私たちって、アンデッドだから、身体は既に死んでいるけど、特に私たちゾンビは、腐乱していたり、身体が崩れかけているじゃないですか!!」

「まあ、ゾンビだからな。」

「ソレが嫌なんですっ!!」

「ハイ?」

「こんなに腐りかけで、崩れかけている醜い体や姿を見られることに、人間たちから『臭い』とか言われ続ける生活が・・・・、堪えられなくなったんですっ!!」


「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


ヤバ過ぎる、あまりに唐突過ぎる発言に、我輩の思考が追い付いていない。


「一寸待て。

ソレってお前たちゾンビのアイデンティティーの根源を否定することにならんのか?」


そうなのだ、『ゾンビ』とは、アンデッド=不死者となった存在の仲間であり、一度は死んでいるが、呪文や魔術によって蘇り、現世で死体のままで動き回る存在だ。


すると、当然のことながら、身体は死んでいるのだから、本来であれば生きている時の様に食事や排泄の必要性が無くなる。


よくホラー映画などでも登場するけど、『生者を襲うのは、食欲のみが強く残るから』とか『死者故に生者への憎悪が強いため』などの理由で、齧りつくのであって、肉体保存の為じゃない。


身体は死んでいるのだから、血液も流れない。

つまりは、肉体が腐敗して崩壊することは止められない前提だ。


ただしそれは、我がエ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮内に於いては、魔素で満たされている故に、腐敗の進行を停止させることが可能だ。

あくまでも、『停止』であって、この迷宮から一歩でも外へ出てしまえば、魔素供給が届かなくなり、腐敗は通常の速度で進んでしまう。

無論、既に腐敗してしまっている部分については、それ以上進行することを止めるだけで、腐敗そのものがなくなるわけでは無い。


例外は、魔道具や魔法によって、状態保存を持続させれば、腐敗の進行は留められる。

だが、仮にそういった状態保存無しで、ダンジョンの外へ行ったりして腐敗が進行した場合でも、スケルトン化するだけなので、吾輩にとっては何ら問題が無いのであるが。


それを、時間を逆行させるが如く、『美しくありたい』だと!?

そんな不可能をどうやって可能にすれば良いと言うのか?

吾輩は、『魔王』であって、『魔神』じゃないぞ?


せめて『魔神』であれば、もっと高位の存在として、多少の無理も通るかもしれんが、魔神成らざる吾輩が、どうやってゾンビ少女らの願いをかなえてやれば良いというのか・・・・。


しかも、今目の前に居る少女一人では無いのだろう?

一体、ゾンビ部隊に何人の女性ゾンビが居ることやら。

ハァ・・・・。

頭痛い。


「わ、分かった。

お前たちの言い分は分かったから。

だが、そのぅ・・・・。

もう少し時間をくれないか?」



ようやく絞り出すようにして答えられたのは奇跡の様だ。


「分かりました。

魔王様がそう仰るなら、もう少しだけ待ちます。

でも、あまり長くなると、痺れを切らしたお姉様たちがこの迷宮から去ってしまいますからね?」

「分かった。善処しよう・・・・。」


こうして、二回目の話し合いは、問題解決には至らずに、吾輩が考えるための時間稼ぎだけで終わってしまった。


先に書いた短編

「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」

の本編になります。


https://ncode.syosetu.com/n5851fq/


ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。

((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス


※本日から、朝10時と夜7時の一日二回の投稿になります。


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