第十話 アンデッド軍団との対話②
「そろそろ、話し合いを始めようか?」
クルーリと向き直って、ニッコリ笑顔でキバを見せびらかしつつ、若干の凄味も混ぜながら、吾輩から宣言した。
「「「「ハーイ!」」」」
大変良い返事だなぁ。ウォイ。
「それで、お前たちの不満は何だ?」
「えー魔王様、前回の話し合いを覚えて無いんですか?」
「いやいや、覚えているとも!
覚えているんだが、そのぉ・・・・。
もう少し具体的にだな、ハッキリと明確に、分かりやすくだな・・・・。」
ゾンビ少女マリイとリッチーのネイが睨んできて怖い。
スケルトン青年のケイルはほぼ空気で、先程からピクリとも動いていない。
まさかとは思うが、こんな場で「返事がない。ただの屍のようだ。」の一発芸をしているんじゃあるまいな?
「恐れながら、魔王様。
私から一言で纏めても?」
「ん? 嗚呼。構わん。
お前が纏めてくれるなら、それで良いぞ。」
見かねた副官のデリラが助け舟を出してくれるらしい。
助かった・・・・のかな?
「魔王様。相変わらず、厨二病的なキャラ造りには細心のご注意を払うのに、女心の機微には、疎くていらっしゃいますのね。ハァ・・・・。」
アレ?
吾輩なんで更に盛大にディスられてんの?
少し呆れた様な感じで、デリラが吾輩を睨む。
身に覚えのないことで、責められるなんて、理不尽にも程があるだろうに。
「魔王様。
女とは、幾つになっても『美しくありたい』と願う存在でございます。」
「はぁ?」
「・・・・。
未だお分かり頂けませんか?」
何故かこめかみに青筋を立てながら、デリラやマリイ、ネイ、カーミラから射殺しそうな程に強い殺意を感じる視線を浴びせられる。
「ダメだよ。
魔王様は『男』だもの。
もっとストレートに言わなければ。」
あまり感情の籠らない感じの平坦な声でネイが言うと。
「そうだよね。魔王様には、私たちの苦しみなんて、理解できないわよね・・・・。」
ゾンビ少女マリイがポロポロと涙を零す。
「私がぁ、こぉーんなに積極的にアピールしてもぉ、ぜーんぜん気づかない朴念仁だものねぇー」
カーミラが妖艶に微笑む。
「ハァ。私だってぇ・・・・。ふぅ・・・・。」
デリラが溜息と共に、こちらを睨む。
解せぬ。
「だ、だからその・・・・。
お前の、いや、お前たちの苦しみとやらを聞かせてはくれないか?
もしかしたら、力になってやれるかもしれないじゃないか・・・・。
な?」
必死の吾輩の説得が通じたのか、マリイがようやく本音を聞かせてくれた。
長かった!
本当に、ここまでが長かった!!
先に書いた短編
「エ・イ・ドーリアン地下大墳墓迷宮叙事詩第一章第十二節 『投げ込むならドリアンだけは止めよ。』」
の本編になります。
https://ncode.syosetu.com/n5851fq/
ようやく、少しだけ書き溜めることができたので、公開してみることにしました。
((ノ(_ _ ノ)ドウゾヨロシクオネガイシマス




