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ゲームのような世界で、私がプレイヤーとして生きてくとこ見てて!  作者: カノエカノト


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第九八話 発表準備

 今日はこの後もう一話投稿するよ!

 山岳方面の地図というのは、近くに鬼のダンジョンがあったことからある程度カバーされているため、マップウィンドウでマークすることが出来る。

 であれば、移動もワープを用いて一瞬だ。が、流石に街門をくぐらぬまま街の外に出るのはいかがなものかという話になり、私たちは出かける支度をした後街の北門を通過。その後人目につかないような場所に足を向け、ワープを発動したのである。


 斯くしてやってきたのは、草木よりも石や岩のほうが多く見られる山岳地帯。街からほど近いとは言っても、歩けばそれなりに時間がかかるわけで。ワープというのはやはりとても便利な代物だなと使う度に思い知らされる。

 この休養日を使って、いっそマップを広げるための旅なんかを計画しても面白いかも知れないな。

 それはさておき、私はオルカたちに振り返ってモザイクの魔法を解除する。ワープとモザイクはセットなのだ。


「ミコト、モザイクの代わりになるようなものはないの? 姿を透明にする魔法とか」

「オルカ様、流石にそれは難しいのでは……?」

「はっ、光学迷彩ってやつだね……なるほどなるほど……今度開発しておくよ」

「コーガクメーサイ……? 何だかよく分からないが、もしそれが可能になったとしたら、また一つミコトの機密情報が増えることになるな」


 モザイクが苦手なオルカの言葉に、私は新たな魔法の習得を決めた。

 光学迷彩だなんて、正直その言葉と大まかな概要くらいしか知らないから、実現できるかは不明だけれど。

 確か光を湾曲させて、物体の背後にある景色を見せるとか何とか……うろ覚えすぎる。多分まっとうな手段で再現しようとしても無理だな。要研究だ。

 まぁそれはいいとしてだ。


「それじゃあ早速、『黒い武具シリーズの特殊能力を解明しちゃおう!』という企画を始めていこうじゃないか」

「どういう形でやるの? 一つ一つみんなで検証する?」

「完全装着をお持ちのミコト様なら、すぐにでも解明してしまわれそうですが」

「いやいやここは、各自それぞれ検証時間を設けた後、一人ひとり判明したことを発表する、という方式が楽しいのではないか?」

「「「それだ!」」」


 ということで、私たちはそれぞれ四方に散って、自分の持つ武具がどういった力を備えているのか調べに入るのだった。

 ダンジョンのクリア特典で手に入る装備アイテムには、何かしらの特殊能力が付与されているというのがお約束らしい。

 なので、みんな何かしらの不思議な効果を発揮させられるはずなのだが。果たして私の持つ黒い太刀、それとついでに黒鬼からドロップした鬼の仮面はどんな力を秘めているのやら。

 調査、検証に用いる時間はおおよそ二時間ほど。その後昼食を挟んで発表会を行う予定だ。

 皆から離れると、私は早速ワクワクしながら仮面と太刀を身に着けるのだった。



 ★



「うえぇぇぇ、ミコト様ぁぁぁ」

「ココロちゃんどうしたの、そんなにべそかいちゃって」


 完全装着のおかげか、比較的早く仮面と太刀の特殊能力を把握した私が、楽しくなってついドカンバコンと大暴れしていると、そこへココロちゃんがフラフラと訪れ、泣きついてきた。

 こうして見ると完全に泣いちゃった小学生みたいだが、こんななりでも立派なAランク冒険者だというのだから、正にファンタジーである。

 そんな彼女に何があったのかと尋ねてみたところ。


「ぐす……実は、いくら頑張ってもこの金棒の特殊能力が分からないんです……時間もどんどんなくなるし、このままだとココロだけ何も分からないまま……」

「そっかそっか。よしよし、じゃぁ私も一緒に調べてあげようね。だから泣かないで」

「うぅ、でもミコト様のお邪魔になるんじゃ……」

「私のはもう調べ終えたから、全然大丈夫だよ。暇だから遊んでたくらいだもん」

「さすがミコト様です! そこにシビれる憧れる、です!」

「私そんなネタ教えたっけ……?」


 ココロちゃんが差し出してきた、そのちょっとスタイリッシュな黒い金棒を手に取り、早速調べに掛かってみる。

 意識を深く集中し、装備の持つ個性や力を読み解くイメージで、金棒に探りを入れていく。太刀や鬼の仮面はそれでだいたいどういう力があるか分かったのだけれど。

 しかしどうしたことだろう。この金棒は、うんともすんとも応えてくれない。

 何かしら、確かに力は感じるのだけれど、それが具体的にどういったものなのかが分からないのだ。


「うーん……なんていうか、すごく頑なな感じがする。もしかすると、特殊能力を引き出すためには何か条件があるのかも知れない」

「そう言えば、そのような話を聞いたことがあります。何の特殊能力もない、ただの武器だと思われていた剣が、聖女様がお触れになった途端輝きを放ち始めた、みたいな」

「おお、いいねぇ。選ばれし者にしか扱えない武具……ロマンがあってとてもいい! もしかするとその金棒もココロちゃんの成長に応えて、いずれすごい力を発揮してくれるかも知れないね」

「そ、そうなんですね! ココロ、がんばります!」


 そう考えると、なんだかちょっぴり羨ましくなってしまった。

 いかんいかん、私には太刀があるんだ。浮気なんてしたら、それこそへそを曲げられるかも知れない。

 すっかり泣き止んだココロちゃんと、金棒の秘めたる力に思いを馳せながら妄想話に花を咲かせていると、やがてオルカとクラウがやってきて昼食の準備に取り掛かることに。


 ストレージからいつものように、ちゃっちゃとテーブルや椅子を取り出すも、地面がガタガタなため土魔法で軽く平らにするという一手間をかけて設置。

 オルカに言われた材料を取り出すと、手慣れた手つきで調理を開始した。ココロちゃんはモンスター除けの結界を展開している。

 そんな様子をオロオロしながら見ていたクラウ。


「わ、私もなにか手伝いたいのだが……」

「え、うーん。クラウって魔法は使えるの?」

「う……いや、使えないが……」

「それじゃぁダンジョン内ではどうしてたんですか? 飲水とか」

「魔道具で生成していたな。アレがなければソロ活動など出来ないさ」


 魔道具ってすごいんだなぁ。っていうか魔法自体がすごいわけなんだけど。

 ともあれ、魔法が使えないんじゃ火や水を出すのは出来ないか。


「それなら材料を切るの、手伝ってくれる? ココロも一緒にどう?」

「おお、刃物の扱いなら任せてくれ!」

「加減を覚えたココロの器用さが火を吹きますよ!」

「微笑ましいかよ……」


 楽しそうに包丁を握るココロちゃんとクラウ。テキパキと作業を進めるオルカに、魔法で加熱、冷却、水の生成と大体何でもできる私。

 昼食作りはわいわいと進み、なんやかんやでおいしい食事にありついたのだった。


 食事は和やかに済み、後片付けは主に私が受け持つ。というのも、お皿洗いに水と清浄魔法を用いるため、私が担当するのが一番手っ取り早いのだ。

 清浄魔法はココロちゃんも使えるので、隣で手伝いをしてくれている。

 テーブルではオルカとクラウが食後のお茶を楽しみながら、しみじみと話をしていた。


「冒険者をしていて、こんな昼食を摂ったのは初めてだ。やはり君たちといると、得難い時間を体験できるらしい」

「私たちと言うより、大体ミコトがいてこそだと思う」

「だが、ミコトとて初めからああだった訳ではないのではないか?」

「む。まぁ、それはそうだけど」 


 オルカはお茶を一口すすると、少し遠い目をした。もしかして、私と初めて出会った時のことでも思い出してるのかな?

 確かに私、最初はストレージなんて持ってなかったもんなぁ。


「言われてみると、ミコトは私が育てた、みたいなところはある」

「はは、そうなのか?」

「そう。最初のミコトは、それはそれは危なっかしくて……」

「ちょっと! 私の恥ずかしい過去、暴露しないでほしいんだけど!」

「大丈夫ですミコト様。ミコト様は今でも、まだまだ発展途上ですよ」


 そうして後片付けを済ませ、食休みを取った後、私たちはようやっと今日の本題へと入っていった。

 誰から発表しようか、ということに関しては昼食を頂きながら既に決めてある。

 一番手はオルカだ。彼女は数歩前に出て私たちに向き直ると、早速苦無を手に持ち、説明を開始した。


「それじゃぁ、このクナイについて分かったことを説明するね」


 皆の注目を集め、ちょっと恥ずかしそうにオルカが続ける。


「まず、言葉で説明するよりも見てもらったほうが分かりやすいと思うから。実演する」


 そう言って彼女は軽くそれを構えると、何でもないかのように一振り。

 次の瞬間、オルカの手の中にあったそれは、驚くべきことに苦無ではなくなっていた。


「え、あれ、長い針に変わった!?」

「す、すごく先が鋭いですね」

「そのクナイというのは、針に変形する特殊能力がある、ということか?」

「ううん。見てて」


 そう言うとオルカは、続けざまに黒いその針を、様々な形へ変形させてみせたのである。

 シンプルに球体にしてみたり、人形を造形してみたり、ナイフに変えたり、自分の手の形をもして動かしてみたり。


「すご……つまりそれって、オルカの望んだ形に変形させられるアイテムってこと?」

「そう。【変形】が、このクナイの特殊能力……の、一つ」

「ってことは、まだ何かあるんです!?」

「ちょっとMPを使うんだけどね……こう、すると」


 それはさながら手品のようだった。

 デフォルトの形に戻った苦無を、オルカがひょいと指でつまみ上げる。すると、どういうわけかオルカの右手につままれた苦無と、左手の平の上に乗ったままの苦無。その二つが同時に存在しているのだ。

 そればかりか、オルカの意思一つでどんどん苦無は増えていく。やがて手の上からこぼれ、地面に溢れ落ちてしまうほどに。


「これは……苦無を増やせる、ということか?」

「そう。これがもう一つの特殊能力、【増殖】」

「変形したままでも増やせるの?」

「うん。可能」


 そう言った途端、増殖した苦無たちは次々に形を変え、再び針に、球体にと変化を見せたのである。

 ココロちゃんが許可を得た上でその一つを拾い上げ、感心したようにまじまじとそれを確かめる。


「すごいですね、一体どういう仕組なんでしょう……?」

「この増殖したクナイは、永続的に残り続けるのか?」

「ううん。本体以外は時間経過で消えるみたい」

「はぁ……すごいアイテムだったんだなぁ」


 思わず感嘆のため息が漏れてしまった。

 しかし器用なオルカなら、きっと上手く使いこなせることだろう。


「説明は以上。ちょっと緊張した……」

「ありがとうオルカ。やぁ、良いものを見せてもらったよ」


 私たちがパチパチと拍手を送ると、オルカは少し顔を赤らめ、ヘコっと軽いお辞儀をして発表を締めた。

 一発目からすごかった。これは、何だかハードルが上がった気もするけれど。

 しかし私もクラウも、全く気後れはしていない。それだけ自分の相棒に自信があるということだ。


 オルカと入れ替わりに前に出たのは、二番手を務めるクラウだった。

 こころなしか足取りも軽い彼女がパッとこちらへ振り向き、意気揚々とその黒い盾をバッと構えてみせた。

 目がキラキラしてる。さながら、玩具を自慢したがる子供のように。

 そうして彼女は弾む声で、早速とばかりに盾の説明……と言うより、自慢を始めたのである。

 ごめんなさい、嘘です。もう一話投稿はありません!

 エイプリルフールなので、何かしら嘘の一つもついておこうかと思って。


 やぁ、それにしても一話書くのも大変なんですよな。

 なんやかんやで書くのに大体二時間くらいかかりますもの。遅筆だなー。

 筆がのらない日は半日かかることもありますからねぇ。むー。


 まぁ、楽しんでくれている人がいるのならそれで満足ですし、それくらい手間がかかりますゆえ、もしかしたら更新できない日があるかも知れませんが、その際はご容赦いただけるとありがたいです。

 無論、出来るだけそんな事が無いよう頑張る所存ではありますがね。


 ですので、今後もゆるくお付き合いいただければ、嬉しい限りです。はいー。

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