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さようなら、ガンズソン  作者: 近 森彦
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05、ガンズソン、ブドーを学びたい

 ユウゴは。交通警備の仕事の最中、大学時代の友人を思い出す。一方、惑星プランドスでは、ガンズソンが地球への留学先として「日本」を選ぼうとしている。

 一方、惑星プランドスでは、ガンズソンが宇宙留学、地球行きの準備を着実にすすめている。


 さて、地球では、どの国に潜伏を図ろうか。プランドスでは、地球語として、英語・フランス語を学ぶことはできる。オイラも異星語専門学校で、2年間勉強してきた。ハロー、ボンジュールだ。数人のプロフェッサーが、地球に住んでいた経験から、語学を伝授してくれる。彼らは同時に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、そしてフランスなどの国の情報を講義してくれる。


 先進国ということは聞いているが、「日本」についての情報はほとんどない。日本は150年ほど前まで鎖国という政策で、一部を除き侵入するのは困難だった。今でも、地球人同士であれ異国の人間が日本に住むのは障害が伴うらしい。父親の「ガンズ」は、日本に1週間ほど滞在したが、銀河バスの乗り換えのため立ち寄っただけだ。


 そして、日本の住民は、英語・フランス語などの言葉をほとんど話せないとのことだ。コミュニケーションは、ジェスチャーか、わかったふりをしているか、無視するか、どれかしかないようだ。都市の中の標識も、ほぼ日本語で書かれている。最近は英語表記の案内板も徐々に増えてきているようだが、間違っていることも多いと聞く。


 オレには、地球でぜひ学びたいことがある。それは「ブドー」だ。「武道」と表記されるらしい。


 祖父グランガンズが百年ほど前、地球を訪問した際、「ジュウドウ(柔道)」をマスターし、それをプランドスの人々に伝授した。ジュウドウは以来、プランドス中に広く、軍隊の護身術、体術として取り入れられた。今では戦闘の際、組み合った時の必殺技として改良され、宇宙戦士として必須の技術となっている。


 父親ガンズはアメリカで「カラテ(空手)」の修行をし、プランドスに持ち帰ってきた。そして、ジュウドウ同様に宇宙戦士にとって操ることが必要な秘技となった。ジュウドウ、カラテは、近年地球全体に広まっており、訪れたプランドス人が学びやすかったというの理由がある。ヨーロッパ、アメリカでも、もちろん大人気の格闘技だ。


 そして「ケンドー(剣道)」というブドーも聞いたことだけはある。しかしプランドス人でマスターした者はいない。そう...ケンドーは主に「日本」で行われているが、日本へ潜伏し住み着くことは極めて困難だったからだ。


 宇宙での戦闘において、飛行艇、迫撃砲、化学爆弾、異星への着陸、などのメカニカルな知識・技術の習得の次に必要なことは、対異星人との一対一のいわば「決闘」だ。宇宙ライフル、レーザーガン、そしてスペースソード(剣)の取り扱い、それら武器を使っての、身体感覚と俊敏な行動・判断が一流でないと、宇宙空間での戦いを制することはできない。


 組み合いの際には「ジュウドウ」「カラテ」を駆使して相手を倒すことは有効であるけれども、その前に「スペースソード」で戦う場合…プランドスには、剣・刀という文化がなく、ソード(剣)の扱いは誰もが苦手としている。宇宙戦争が始まる前は、何万年もお互い闘う必要などなく平穏な星だったから…。


 それなら、オレがケンドー(剣道)をマスターし、プランドスの戦士たちに伝えればいいではないか。


 ケンドーの師範になる。オレはそう考えた。そして「日本」に行こう。そう決めた。


 しかし、日本では、言葉が通じない。英語、フランス語は、専門学院で日常会話なら不自由なく扱えるようにはなっている。仕方ない。日本の住民とは、始めはジャスチャーのように態度で意思表示するしかない。オレの手足でもって、日本人の体内から必要なことを伝えていくしかない。そのうちお互い理解できるようになるだろう。


 ガンズソンは、もう一度、潜伏リストをチェックした。


 第1条件…体力があること。身体が丈夫であること→将来、宇宙戦士として勧誘する目的。

 第2条件…肉、スイーツが好きな人物であること→ガンズソン自身が肉・スイーツを好んでいる。

 第3条件…夜でも行動できる人物であること→暗闇のプランドスで即戦力になるように。


 そして、今までの3つの条件に加えて、ガンズソンは微粒子スーパーコンピューターに「第4条件」を入力した。


 第4条件...「ケンドー」(剣道)のマスターまたは経験者であること。


 出発は数日後だ。それまでに、父親ガンズから受けた地球の情報を頭脳に叩き込み、留学途中に起こりうる状況に対応できるようにする。綿密な計画とぬかりのない準備が決行には必要だ。それと潜伏リストを絞り込むことが重要だ。


 ひとまず「地球駅」付近、上空1000Km辺りで待機しよう。ハイパーエレクトロ双眼鏡で大陸、海、島や国々を観察する。最終決定はそこで行うこととしよう。そして銀河バスに乗り替え、大気圏に近づく。不安もあるが、オレの第一の使命は地球人のデーターを惑星プランドスの下、父親ガンズに送ること。先々は不明でも行かなければならない。


 

 






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