42、終章
ガンゾソンは、星に帰っていった。ユウゴの生活もすっかり元に戻った。
ユウゴは交通警備会社の仕事に戻った。今度は、しばらく内勤で、部下や新人の教育を主に行うことになった。夜勤をすることはなくなった。お弁当は、コンビニエンス弁当ではなく、モエの手作りだ。
「え~交通警備という仕事は、主に道路工事中や建築現場での自動車の出入りの際の誘導なのですが...いいですか、自分の健康管理がとても大切なので、体調良好で長く勤められるよう生活を一度見直してみて下さい...。」
「我々は、アスファルトの上で働くこと、排気ガスや現場の粉塵にまみれて働くことも多いのですが、たまには緑の公園で、体操や深呼吸をしてみて下さい。工事現場では、危険な箇所が多いですから、また夜勤を始めると生活リズムも崩れ、一層身体がストレスにさらされます。気分転換をしっかり図ることが必要です...。」
ユウゴが壇に立つ研修は、仕事内容についてはもちろんのこと、社員の生活管理にまで及ぶようになり、好評であった。新人は、眼を輝かせて、話を聴いてくれる。
「え~私は、かのヒマラヤ山脈の銀嶺を眺めながら、何日間も山歩きをしていた経験があります。足腰を常に鍛えておくということは重要ですよ。そしていつかまた、ヒマラヤに行きたいと憧れています。」
時々、話を脱線させて、ユウゴの異国経験を語ると、皆、驚いた眼でユウゴに注目してくれる。
プランドスという惑星にも行ったことがある、と語ったら、もっとおもしろいのに。と、本音は思っていたが...。
......
その頃、プランドス軍士官になったガンズソンも、軍の教育施設で、講演を行っていた。地球留学の報告会を兼ねたプレゼンテーションだ。
「え~地球という惑星は、緑と森と水に満ちていて、美しさの表現は一言では表せない程、素敵なところでした。私たちは、今や大気汚染と、熱風と、爆音、廃墟の中で暮らさざる負えなくなっている状態です。この環境を、一から見直し、一歩づつ変えていきましょう。輝いていたかつてのプランドスを取り戻しましょう。」
「まずは、官庁街の近くの戦火跡地を開放し、土地を馴らし、公園とします。そこに、地球から取り寄せた、ドングリという実を埋め込みました。来年、眼を出し、数年で苗木が育ちます。緑と癒しの森を作ります。さらに、脇には牧場用としての土地を。家畜を放牧させ、今よりずっと良質な食肉が手に入りますよ...」
会場に、”エリナーリグビー”と”イエローサブマリン”が、大音量で響き渡り、講演は終了となった。
(物語おしまい)
「さようなら、ガンズソン」は、私のガン克服体験と、それまでのささやかな人生経験、将来・未来への希望を詰め込んだ、初の長編小説となりました。各章のタイトルについては、まだ校正中で、変更を重ねていく予定です。
闘病中の方、そうでない方にも、楽しめるように、作品内の至る箇所に、”仕掛け”をかけたつもりです。ガン克服・予防のヒントにもなるかもしれませんので、ぜひ読んで頂きたいです。
西洋医学的には、”ガン”の発生要因・機序が明らかにされてきています、また抗ガン剤も開発が進み、新薬も続々承認されています。ただ、その知識と実践だけで、”寛解・完治”が難しいのが、この果てなき病の特徴でもあります。
私は、”ガン”は、生活習慣はもちろん、生き方、人との関わりの中で発症するものだ、と考えています。そして、それだけでも解決できない何かが...。
物語では、”ガンズソン”が、宇宙留学してくるのですが、宇宙からの使者・星からのメッセージを添えた青年として描きました。そして、”ユウゴ”も、今までの経験、ガンの克服、家族との関わりを通して、学び、成長する一青年です。二人の不思議な交錯が表現され、読者のみなさまの癒し・楽しみになるなら、嬉しい限りです。
また、私自身の成長も見届け下さっている方々、日頃お世話になっている方々には、心より感謝、敬服の気持ちをお伝えしたいです。
ありがとうございました。




