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さようなら、ガンズソン  作者: 近 森彦
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02、潜伏人物の条件

 ガンズソンは、潜伏先の条件を検討していくこととなる。留学の目的もより明らかにしていくところである。

 そして、どの国の、誰に忍び込もうかと何枚ものリストを作成した。出発までのあと、数日で最終決定するつもりだ。


・第一条件:体力があること。働き者であること。

・第二条件:肉・スイーツが好きであること。

・第三条件:夜も活動できる人物であること。


 体力がある人物に潜伏し、将来的には、そいつを「宇宙戦士」として勧誘するつもりだ。何故、肉が好きな人物がいいのかといえば、もうわかるだろう。プランドスでは、植物は育たないから、オレは野菜や果物など食べたことがない。そして肉は、閉じ込められて育った食用家畜のものがいい。この星では、もはや放牧は不可能。もちろん魚も皆無だ。ついでに言うなら、調味料は、やはり化学調味料を好む。自然に醸造された調味料などプランドスでは作れない。


 スイーツが好きなことを条件に挙げたのは、父親が昔、地球旅行に行った時のスイーツの話を聞いて、その美味しさ、形・色合いが素晴らしいものだとたびたび言っていたから。オレもたらふくスイーツとやらを味わってみたい。スイーツ好きの人物に潜伏すれば、オレも同時に堪能できるはず。


 今、惑星プランドスは、大部分が闇に覆われている。厚いガスが空を覆い、陽の光は滅多に届かない。それも戦火と、体気温の異常な上昇、そして発電所からの排気、森の消滅によるものだ。もっとも大規模発電所など、とっくに破壊されているのだが。


 その暗闇の靄の中で、実践的に戦闘できる人物というのなら、地球においても、夜に活動していた人物が好ましい。それが、第三条件だ。


 勘違いしないでくれ。オレは悪者ではない。故郷の惑星プランドスをただ救いたいだけだ。


 そうなのだ。荒れ果てた土地、ガレキの山に囲まれて育ったオレが地球人のように美しいわけはない。父親ガンズもそうだった。父親も姿、形が醜かったが、努力して軍の大佐にまで昇りつめた。その息子のオレは、住居と学校に不自由はなかったが、街に出れば、あたりは廃墟だったのだ。公園もない、木々もない。崩れたレンガの間で、ほこりにまみれ、戦闘ごっこをしていたのが、唯一の遊びだった。


 オレの容姿は、何万年も前の獣のように厚い皮膚に覆われ、退化してしまっている。見え隠れする血管、太い腕と、短い足、そして顔はシワだらけ。そうだな、聞いた話では、地球に少し前、チャールズ・ブロンソンという映画俳優がいたらしいが、気取って、ブロンソン顔ということにしておいてほしい。筋骨だけは、オレも隆々だ。


そんなわけで、オレは地球のある人物の内部から、地球人の生態や行動の始終のデーターを送信することにするので、よろしく。


 おっと、まだまだ、準備することがある。銀河鉄道に乗り遅れてはならない。


 潜入リストを隅々までよくチェックして、え~と、持ち物は、ハイパーエレクトロ双眼鏡とマイクロデジタルカメラと、銀鉄チケットと…


 ガンズソンは、惑星プランドスの高層階のアパートメントで一人着実に宇宙留学の準備にとりかかっていた。


......


 


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