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さようなら、ガンズソン  作者: 近 森彦
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01、「ガン」は悪者ではない。きっと回復できる!...ガンズソンの自己紹介

惑星プランドスに生まれ育ったガンズソンは、地球への宇宙留学を命じられ、出発の準備を始めることとなる...。

 まだあと数日ある。銀河鉄道の発車まで。

 それまで少し自己紹介させてほしい。

 

 オレの名前は「ガンズソン」、父親の名前は「ガンズ」、そして祖父の名は「グランガンズ」という。


 オレが生まれ育った惑星「プランドス」は、長期の宇宙戦争と内乱で、すっかり荒廃してしまっている。

 緑はない。海も干上がりかけている。体気温が上昇し、毎日暑く、人々の気力もうせている。麻薬密売人と娼婦があちこちにたむろす。


 オレはこの故郷の星に絶望しかけている。父親ガンズは「地球」という美しい星に行ったことがあるという。祖父もそうだ。


 「地球」には、緑の森があり、青い海があり、人々が生き生きと生活しているという。


父親と祖父は宇宙旅行で地球に行ってきた話をオレによく聴かせてくれた。いつの日かオレも行ってみたいと思うようにはなっていた。


 けど、この風貌のオレを地球の人々は受け入れてくれるだろうか。


 オレの星も数百年前までは、豊かだった。近所の惑星と自由に銀河鉄道や銀河バスで往来ができた。協定を結んでいたから、パスポートなどのアイデンティティカードはもちろん不要だ。


 ある年、隣のB惑星が「協定から抜けたい」と、言い出したらしい。勝手に入ってこられて移住してしまう貧乏なやからが増えすぎて、食糧不足になったとのことだった。


 B惑星が協定から離脱し戦争が始まった。周囲の惑星がB惑星を攻撃するやいなや、B惑星もすぐに反撃に出た。プランドス宇宙軍も連合軍として参戦したが、B惑星の最新宇宙兵器は、惑星軌道が一番近いプランドスの大地に、甚大な被害を浴びせた。


 プランドス政府は、戦争賛成派、反対派と二分したが、そのうち、それまでの統一政府軍と反政府軍とで内乱が始まってしまった。こうなると誰も止めようとする者はいなくなる。


 宇宙戦争と内乱が数百年続き、オレの故郷はガレキの山と化した。高層ビル群は徹底的に破壊され、街中至る所に、火の手が上がっている。緑は消え失せ、森は無くなり、海はヘドロ化している。


 父親のガンズは、プランドス宇宙軍の大佐だ。ある日、オレに命令した。


「今、この星は壊滅的となっている。ガンズソンよ。地球へ行くのだ。地球は緑と森、水に囲まれている。人々の様子をよく研究し学んでくるのだ。」

 

 ガンズソンは初めて宇宙留学することになった。期間は決まってはいない。目的地は「地球」だ。


数日後に、銀河鉄道「地球行」が出発する。列車ナンバーは194。どんな留学になるのか、想像すると緊張する。


 まず、地球という惑星は「酸素」という気体で満たされているらしい。惑星プランドスには、酸素はすでに存在しないに等しい。戦火で燃やされ尽くされ、さらに植物が育っていないので、酸素は新たに作られてはいない。住民の他に、生物は家畜しかいない。それも、徐々に低酸素に順応し進化を遂げている。進化?そう言ってもいいのだろうか。


 よって、オレの身体は「酸素」を代謝できなくなってしまっている。地球ではどうしたらいい?その地上で活動していくためにはどういう方法があるのか、オレは考えた。ガスマスクのような「酸素防御マスク」といったものを装着するか、今から体質改善を図るか?どちらも実効的ではない。


 そうだ。地球人の体内に潜伏し、侵入した体内の栄養を搾取していればいい。酸素を直接浴びずに済むわけだ。体内から地球人の身体をくまなく観察、データー化し、惑星プランドスに適宜、送信していればいいのだ。



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