寂
冷たい風だけが通り抜けていく夕暮れの駅
悲鳴を上げるように止まる列車
低い空から鮮烈に差す西日
辺り一面に広がる田圃
とうに葉が散った山
端が白がかった空も、寂しそうな音を鳴らす踏切の警笛も、まるで一つの物語のようで
閑静な村で黒い鳥たちが空で戯れる
遠くには三つの山がそびえる
無機質なパネルが敷かれた耕作地
どこからか続いている送電塔
この町には不似合いな新品の信号機
短い電車
ふいに開いたドアから冷たい風が足元を伝う
この寂しさはどこから来るのか
どこだってそうなのか