04
全てが凍った。
思考を再開するのにどれだけの時間を要しただろうか。
いっそこのまま何も考えずに生きていけたらよかったのに。
しかし、現実はそううまくはいかない。はっきりとしない頭で僕は口を開いた。
「彼女の最後は・・・。」
「この学校の屋上から飛び降りたんだ。一時期ニュースにもなった。だから彼女の死は君も知っているものだと思ったんだが。」
リハビリに一生懸命になったのが誤りだった。ニュースを元からあまり見ない性格だったのも原因だと思う。もっと早くに知ることが出来れば・・・・・知ることが出来ればなんだというんだ。
力の入らない体を無理矢理に立たせ僕はその場を後にした。その体は僕が意識しなっくても上に進んでいる。階段を一歩進む度に癒えたはずの体の痛みが蘇り全身を引き裂くかのような痛みが体を襲う。それでも足は止まらない。
最後の扉の前に着いた。手入れをされておらず、錆びはなくとも少しの埃をかぶっているドアノブを回し外へと出た。屋上はあっけないほどに何もなく、前へと進む足を止めるものはもう何もなかった。
体がフェンスにぶつかる。空いた手でフェンスに手を置くと、朝のホームルームを終え休み時間に入った生徒達の笑い声が耳へと届く。
人が一人死んだ。
なのに奴らは笑うのだ。
何も変わっていないみたいに。
強く握った拳を何度もフェンスへと叩きつけた。もう自分で何を考えているか分からない。一心不乱に拳が壊れるまで叩きつけた。
それでもまだ笑い声は止まない。
階段を降りて自身への教室へと急ぐ、そして静かに除き込む、そこには朝俺に向けてきた目を既に捨てさり、普通の日常を楽しむ奴らの姿があった。
だから俺は、松葉杖を振り上げた。