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霧崎守の幸福論  作者: 影文
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 山本幸樹にとって銃という存在はカッコよさの塊のようなものだった。アニメに移る百発百中のガンマンたちは彼の理想像であり、彼らのようになろうとモデルガンを買い集めてはその特性や改造の可能性に心を躍らせていった。事実17歳で彼ほど銃に詳しい人間はいないだろう。

 だが、彼がカッコいいと夢中になる世界が世間一般から同じ評価を受けるかどうかは別の話だ。いや、銃の問題ではなく彼自身が極度のオタクだったことがこの結果をもたらす一番の問題だっただろう。

 しかし、彼は気にしてなどいなかった。他人にバカにされようとも、見下されようとも自分がカッコいいと思い、そうなりたいと願ったことに何も恥ずべきことはないと考えていたからだ。

 勿論彼もオタクと言う人種が見下されるのを知っている。だから、彼は少なくとも『まとも』であろうと考えた。運動部に入り体力もつけていたし、勉強でも中の上くらいには常に立っていた。親のすねかじりとは思われたくなかったためコレクションの銃は全てアルバイトで貯めたお金で買いそろえた。

 そんな努力もあってか彼は学校で俗に陽キャと呼ばれる人達とも普通に話せるようになっていた。

 しかし、それを面白くないと思う奴らも存在する。社会から『バカにされる人種』というレッテルと張られているにも関わらずその人間が自分より上にいるという事実に彼らは怒りを覚えた。そして、理不尽にもその怒りは彼に向けられる。

 貯まったお金を降ろし、買い物に向かう途中彼らは絡んできた。

 「友達なんだから奢ってくれよ。」

 と近寄って来る彼らに対し、彼は何の恐怖も抱かない。それは彼の目か見ても彼らは学力や身体能力以前に人間として自分より下だとはっきりしているからだった。

 彼は無視をした。集団で寄ってくる相手に下手に止まって話をすれば逃げる機会を完全に失う。何も言わずに逃げるのが最善の手だった。

 だが、最大の間違いでもあった。

 我慢の限界まで来ている彼らの頭からは既に常識なんてものは欠如していて、彼はそれを思い知らされる。

 一撃、頭に何かを喰らった。地面に崩れ意識が途切れそうになる中で彼らは追い打ちを掛けてくる。顔の原型が無くなる頃には彼の意識も、命も、もうこの世界には存在しなかった。


 そして、彼もそこに来た。

 死を理解し、再び今の状況を確認した彼は有頂天になる。

 『もしかしてこれは、異世界転生イベントなのではないだろうか!』

 察しがよくて助かるものだ。

 プリントの存在に気が付くと彼は迷わず解き進めていった。そして、運命の問にも一切の躊躇なく書き込んだ。

 

 『銃を無限に召喚できる能力が欲しい。』


 と、しかし、察しの良い彼でも気づくことはなかった。求めた力が何を生むかを

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