見慣れた天井だ。(プロローグ的なものその2)
「・・・うん?」
眼が覚めると見た事も無い天井が見えた・・・という事もなく、見慣れた自分の部屋の天井が見えた。
「うん。やっぱし夢だよな。やたらリアリティがあった気がしなくも無いが。だって、痛覚とかあるってさ」
・・・などと一人で呟いてる俺は危ない人に見えるかもしれない。
「ま、飯食うか。妙に腹減ってるし」
俺は部屋から出て、キッチンを目指す。
一人暮らし・・・ではないが、自分で飯作らなきゃなんないのよ。
ま、いつもの事だし別に良い。今日は、適当に味噌汁と白米でいいか。
「・・・うん、できたできた。おーい!鳴海!飯だぞ!」
ガタガタ・・・ガシャーン!
「キャー!?」
「・・・部屋を片付けろっていつも言ってんのに」
などと、呟いていると、俺の居た部屋とはまた別の部屋から俺の妹・・・結月 鳴海(※彼氏持ち)が出てくる。
「鳴海!部屋を片付けろって言ってるだろ!」
「ち、違うんだよ、お兄ちゃん!昨日は、ちょっと買い物をしてて、袋をそのまま置いてたら・・・」
「だから、それを片付けろって言ってんの!」
「・・・そんな事よりも、ご飯いただきまーす!」
「こら!そんな事って何だ!まったく・・・そんなんじゃ、優介君に愛想尽かされるぞ」
「ゆー君はそんな事じゃ怒りませーん」
「はあ・・・まったく、誰に似たんだろうなぁ・・・。まあ、いいや。いただきます。・・・あ、今日は早く行かなきゃいけないんだったわ」
何か・・・朝会があった気がするから、さっさと飯食って行かなきゃ。
「・・・ご馳走様。鳴海、学校に遅れないように行くんだぞ?」
「分かってるよ」
「じゃ、行って来ます」
「行ってらっしゃい」
さあ、学校に行くとしようか。
―――――――――――――――――
「という事なんですね。分かりましたね?それでですね、次はですね」
やたら、語尾に「ね」が付く校長の長い話を聞き流しつつ、俺は立っている。
話長いんだよなぁ、この校長。
「・・・私からの話は以上ですね」
あ、やっと終わった。かれこれ十分は喋ってんじゃないのか?俺達の休憩時間が減るから勘弁して欲しいんだが。
「それじゃあ、これで朝会は終わりです。各学年一組から順番に並んででるように」
いやあ、一組って一番最初に出れていいよね。一組で良かったと思う今日この頃。
「やっと、朝会終わった~。まったく、このクソ暑いのに長話なんてやめて欲しいわ。なあ?想夢」
「まったくだ。どこからあんな長話が出てくるのやら・・・」
さて、教室に戻って、今は授業(社会)。俺は社会が苦手だ。地名覚えるのとか、年代覚えるのとか、単語覚えるのとか。まあ、全部無理。
で、だ。一時間目って眠いよな?俺は今、睡魔と格闘中だ。
・・・が。俺は・・・俺は睡魔に負けてしまった。心地良い眠りの誘惑に負けてしまったのだ。無念・・・
だけど、一番後ろの一人席最高!
俺の意識は薄くなっていく。
―――――――――――――――――
唐突だが、俺の名前は結月 想夢。
今現在、鬱蒼とした森の中に寝転がってます。・・・夢の中で。
あれ?これ、デジャヴ?
ていうか、寝てる場所が前の夢でキノコ食べた場所なんだけど。
後・・・服装なんだけどさ、学生服なのよ。どういう事?
・・・とりあえず、もう一度キノコ食おうかな。あ、ポッケにも二つ程入れておいて、と。
「あむ・・・んぐ」
あ、眠気が・・・
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ゴッ!
「いっ!?な、なんだ!?」
「結月。私の授業で寝るとは、中々勇気があるな」
「・・・あ。・・・ね、寝てたわけではないんですよ?気づいたら気絶してまして・・・」
「・・・結月。話があるから、放課後は相談室に来るように」
(クスクス、クスクス。)
・・・それにしても、夢の続きを見るなんてなあ。
全くもって不思議な夢だった。うん。・・・現実から逃げてなんかいない。
キーンコーンカーンコーン
授業終わったぁ・・・。後、俺も終わった。放課後死ぬかもな。
まあ、それはいいや。飲み物でも買いに行こうかな?
確か、ポッケに財布が・・・ん?ポッケに何か。
・・・キノコ?。それも、眼が覚める?前にポッケに入れたあの柄と全く同じなやつ。
これは・・・もしかするともしかするんだろうか。
ちょっと、食べてみるとしようか。
キノコを食べると、眠気が―――
―――――――――――――――――
・・・うん。寝てる場所はさっきキノコ食べた場所と同じとこ。後、ポッケに入れたキノコが一つ無くなってる。
これは、ちょっと確信したかも。
ステータス表示だ!
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結月 想夢
・種族 人間
・年齢 16歳(誕生日 5月15日)
・職業 高校一年生(地球) 迷子(???)
・ステータス
LV.1(あといくつ 500)
生命力 10/10
魔力量 0/1
筋力 10
耐久 10
敏捷 20
器用 200
感覚 100
魔法力 0
特殊
空間転移 Lv.1
・称号
転移した者 異世界人 迷子くん
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うん、特殊の欄が表示されてる。
さあ!説明をして貰おうではないか!
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空間転移
『結月 想夢の就寝時。偶然、彼の真下に別世界への扉・・・というか、穴が開く。彼は重力に従い、その穴に落ち、そして別世界へと辿り着いた。その際、彼に出現した能力がこれ。
使用者を転移させる能力で、能力は個人によって変化する。
彼の場合は、現時点では世界を跨ぐ転移が可能。使用条件は、使用者の意識が無くなった時。
転移をしても、肉体は両方の世界に存在する。但し、肉体の能力と身に着けている物などは共有され、一つの世界で服装が変われば、もう一つの世界でも服装が同じ物になる。また、転移先の時間経過は目覚める瞬間の時刻。
成長の可能性が有り、慣れれば制御が可能。成長の方向性は様々で、本人次第。』
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・・・だとよ。なるほどねえ・・・。これが夢だというのは、色々間違ってる気がするのでもう諦める。
これが・・・異世界転移・・・か。実際、転移してみると溜まったもんじゃないな。
いや、こんな場所じゃなくて、人里ならそうも思わんかったかもしれないがね。
説明を読んだ俺の行動?そりゃあ・・・
「とりあえず、転移用にこのキノコをたくさん採っておくとしよう」
当たり前だ。これさえあれば、好きに転移できるからな。
さってと、これからどうすっかねえ?
うーん・・・やっぱり、人里を目指す、でいいのかな?
うん、とりあえずの目標はそれでいいな。
それじゃあ、レッツラゴー!
・・・とでも、言うと思った?
一旦、日本に戻りますよ。準備します。当然ですよ。
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・・・俺の学校生活の風景は割愛する。
放課後は文字通り、死ぬほど怒られた、とだけ言っておこう。
自宅に帰ると、早速準備をする。
鞄と袋を用意して、袋の中には採取しまくったキノコ。鞄には、水、食料、ナイフ、包丁などを入れる。
「お兄ちゃん、何してるの?何?無人島にでも行くの?」
「え?あ、帰ってたのか。まあ気にするな。別に、どっか行く訳ではない。うん、まあ、行く訳ではない・・・かな?」
「何、その妙に気になる言い方は」
「いや、これについては聞かないでくれ。言ったら、頭おかしいとか思われそうだし」
「ふーん・・・。ま、いいや。それなら聞かないよ」
「うん、助かる」
冗談抜きで、口に出すのは嫌である。こういうのは、きっちりと転移できるようになってからでいい。
「あ、今日はゆー君が家に来るから」
「そうなのか?ご飯とか用意しといた方がいいか?」
「大丈夫。外で食べてくるし。というか、お兄ちゃんは部屋か外にいてよ」
「なんでさ?」
俺、もしかして妹に邪魔だと思われてたのか?だとしたら泣く。
「ゆー君、お兄ちゃんに凄く興味持ってるから・・・」
・・・は?そ、そういえば・・・優介君の俺を見る目ってやけに・・・
いや、考えないようにしようか。
「・・・そ、そ、そ、それはそれは。お、お、俺はもう寝るから、ぜ、絶対に俺の部屋に入れるなよ?絶対だぞ?絶対だからな?」
「はいはい。じゃ、おやすみ」
「ああ、おやすみ。・・・絶対だからな!」
・・・優介君と顔を合わせる訳にはいかなくなったな。
部屋に戻ると、準備した物を身に着ける。
「さってと、準備は完了したし、後は寝るだけか」
俺は、ベッドに乗って、キノコを食べる。
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「・・・よし、鞄も一緒に転移できるみたいだな。これなら、何とかなる」
狙い通りに鞄も一緒に転移できたので、森の先へと進む事にした。
「さあ!旅を始めるとしようか!!!」
こうして、俺の冒険は始まった。
・・・まあ、今の所はキノコ見つける度に採取している程度だけど。