退屈の素晴らしさの横には不気味な石
何故こういつもグダグダになるのでしょうか←
侍になる そういったあの日から、何日かたった。修行も始まり、辛くはあるが、何の文句もない。普通の日々だった
飯がクマしか出ないこと以外は
「アンタはクマしか食わないのかっ!?」
「なんだよ急に」
〇
この時代に不釣り合いかどうかは知らんが、見た目的になにも変わったところがない朝飯。
敢えて気になるといえば、朝からえげつないボリュームと食べ応えのあるもんが並んでるぐらいだろう
しかし、俺は知っている。この料理が、今日を入れてもう四ヶ月連続並んでいることを
遂に俺は叫んだ
修行とかいいながらこんなのが毎日
太ってないこと自体が奇跡である
それくらい、飽きるほど俺はクマを血肉とした
これは、キレても仕方ないと思う
俺も、クマも
「なんだよ急にじゃねぇ!ここ何ヶ月もアンタが採ってきたもんといえばクマ!その二文字で尽きるっておかしいよね!?」
「仕方ない。クマが旨い」
「旨いとかそういうんじゃなくて、なんでこの森の中、クマにしかアンタ遭遇しないんだよ!?クマ社会じゃアンタもう伝説になっていいレベルだよっ!!」
「俺が伝説....いいね」
「良くねぇ」
クマの中で伝説になっても何も得るものねぇよ。なんで喜んでんだよ....
元から健康、不健康とかは気にしないタチだが、これは流石に辛い。クマを血肉にしすぎて俺自身がクマになるかもしれない
世の中不思議がいっぱいだな
「ったく....ちょっとでかけてくる」
取り敢えずこれ以上クマの歴史を絶つ様なことはしちゃダメだ....
第一、クマはもう食べたくない
俺は久しぶりの散歩ついでに魚を取りに行こうと腰を上げる
「お、飯取ってくんのか?」
あの朝飯を食ってからそこまで経ってないのに俺が取ってくる昼飯に期待しているのか、目をキラキラさせて俺を見る
あれか、クマか、クマを欲している目か
「師匠」
「はっ、はい」
何かを察知したのか、師匠はサッと正座になる
弟子が師匠を正座させるとはなんとも面白い光景だろう。それほど俺の声は低く聞こえたのだろうか
ならこのまま行こうと思い、俺は万紅を睨んで口を開く
「俺はほかの取ってくる。師匠も行け。クマ以外採ってこなかったら肉食わさねぇからな」
「はっ、ハイ!!」
少し言い方が変になったが、その方が怖く聞こえただろうから万事OKとしよう
師匠の返事を背中で受けて、俺は洞窟から外に出た
何処かにポン酢とか落ちてないかなぁ
〇
「はぁ...びっくりするほどクマにしか遭遇しねぇ。刀で応戦はできるけど勝っちゃったら今日もクマ飯になるし....なんという連鎖」
カレー並みの連日でクマ飯を食べたのはこれより前もこれから先も恐らくオレ達ぐらいだろう。そんな伝説は勘弁だ。
確か東の方に川があったような気がする。この前ルーミア背中押されて落ちたことあるし、間違いない
「おっと」
「あっ」
考え事を....ルーミアに仕返しする方法を考えながら歩いていると誰かにぶつかったようだ
「あっ、すまん。余所見してた」
咄嗟に出たような謝罪。というかこの時代に人なんて滅多に歩いてないし、相手はバケモンかもしれないのに都市にいた頃のように普通に話しかけてしまった
「いえいえ、大丈夫ですよ」
しかし予想を裏切り、丁寧な返事が俺の耳に届く。振り返ってみるとそこには赤髪の青年が立っていた
「それでは」
そう一言残し、その青年はまた森の中に消えていった
この時代で、人の形といえばアイツも強い妖怪なんだろう。今までにないほどの礼儀の良さだったけど
「敬語とか、依姫以外に初めて使われたな」
そんな懐かしい名前を出しながら、俺は川へ向かった
「反抗的な奴だったからちょうどいらなかったんですよね....その石(彼)は、あなたにプレゼントです」
自分の歩いていた方向を見つめながら、赤髪の青年は笑っていた
その手には、人の顔に見える小さな石を持っていた
〇
「だーかーらっ!こう、しゅばっ!としてガシッ!ってやってドバゥィ!って感じで捕るのよ!」
「わっかんねぇー!しゅばっとガシッはぎりぎりわかるけど何だよドバゥィ!って!?」
あの後川には無事ついたけど、野生のクソアマが現れてしまった
即座に逃げる選択をしたが大人気なく能力使われて闇の中にランナウェイしてしまった
結果、魚の捕り方を教えられてるわけだが、考えるな、感じろ方式とは思わず、凄い戸惑ってる
そんな効果音でわかるわけないだろ....何処ぞのマフィアのボスみたいに超直感なんてないし....
「もういい、鷲掴みなんて覚えなくていいからあれだ、釣竿の作り方教えてくれ」
そっちの方が今よりかは楽そうだ
後々使えるし、何よりわかりやすい
「そんなの知らないわよ。クマ以外食べたいんでしょ?ならさっさと私の言ったとおり魚を鷲掴みするのよ!」
「実践も見せねぇくせにわかるわけねぇだろ!それにお前の捕り方なんかせこい」
鷲掴みをしつこく押してくる割にはルーミアは能力使って闇ですくい上げてるし
....闇ですくい上げるってなんか笑えるな
「能力は有効活用しなきゃダメでしょ?」
「せっこいな...全然とれねぇ...」
「貴方にも能力があったら良かったのにね〜」
嫌味ったらしく言ってくる、俺、腹立つ
「にしても、貴方が能力無しとはねぇ、まぁ人間だからある方が珍しいけど...鍛えてあげるって言ってあげたのに一体何を教えたらいいのよ私は」
「知らんがな」
程度の能力について教えると言われて2日おきに通い始めたが、その程度の能力を持っておらず、俺は通うのをやめた
いや、やめようとしたがなにか教えると強引に言われ、まだ馬鹿みたいに通っている
そして昨日あったばかりというのに川でコイツと遭遇....なんという不運なのでしょうか
「もうあれだ、魚の捕り方真面目に習うから、それで教わること終わりってことで」
「んむむ、何教えようかしらねぇ....」
全く聞いてない。耳が詰まってるのかな?ちょっとこの刀でちゃんと通ってるか検証してみたくなった
「あっ、そうよ!」
「なんだよ」
なにか思いついたのか、わかりやすく手のひらをグーで ポンッ とジェスチャーをするルーミア
ろくな事じゃありませんように
「あのお侍さんが教えるのは 【力】と【技術】ってやつでしょ?」
「まぁ、剣術だし....あってんのかな」
「それなら、私は貴方に【技】と【基本】を教えてあげる」
急にルーミアらしくない真面目な言葉が出てきて、意味を捉えるのに戸惑ってしまった
「つまり...?」
「つまり、生きていく上での身体能力やら技術を教えるってことよ。ただの殺されるまで死なない人間で、殺されないように生きていくんだから必要な知識だと思うけど?」
「まぁ、必要って聞かれたら必要だな」
「でしょ?」
何ともまともな、確かにそれを教えてもらえるのはでかい。殺されることが一番やだし、そういう知恵は欲しいなとは思ってた
「こんな大事なことをクソアマに教えられる時が来ようとは.....」
「あのお侍さんに習いたいって言うんなら別にいいけど、野生児になりそうね」
そう言って横の方へ視線を向けるルーミア
俺もそれにつられ横を見る。そこには
「来んじゃねぇ!!俺はもうクマは食わねぇって決めたんだ!!」
「バゥバウ!!」
クマと対話してる万紅がいた
「ガウワァ!!」
「やめろ!俺はもう食っちゃいけねぇんだ....ほかのヤツら食わなくちゃいけねぇ!裏切るつもりは....なかったんだ!」
何か熱いセリフをクマに浴びせながら、猛攻撃をスラスラかわしていく万紅。なんか涙流れてんだけど
「あ痛てっ!?」
クマに集中してたせいで後ろの木に気付かず、万紅は後頭部を思いっきりぶつける
「ガウァ!!」
「あちゃー...痛そうね」
そしてそのままスキを突かれてクマが万紅の顔に攻撃。しかし少し掠った感じで済み、頬に切り傷が入る
「お前......わかった.....そういうことなんだな....!!!!」
「ガウ...?」
「お前のビンタで目が覚めた.....そうだよな!誰がなんと言おうと!俺はお前を食う!そうだな!ありがとう!」
なんという都合の良い考え方だろう
今の攻撃がビンタに繋がったようで、なんやかんやで感動的に結局クマを仕留めるようだ
「ガウガウガウガウ!?」
「お前の気持ちも....今まで食ったクマの気持ちも無駄にはしねぇ!」
恐らく果てしなく否定してるであろうクマをガン無視して万紅は刀に手を添える
「どうやら今日も熊飯になりそうね〜....食べるの手伝ってあげようか?」
「......頼む」
女に同情されるほど、もう食べたくない
片手に今日収穫した少しの魚を持って、俺はクマを持って帰る清々しい顔のお侍さんの後を追った
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「魚も結構旨いな!でもクマのパンチ力に負けるかなぁ〜」
「それ以上魚さんを侮辱したら小骨を脇腹にこれでもかってくらい押し込むぞ」
「ご、ごめんなさい」
俺の好きな海鮮を侮辱した罪は重い
指の二つくらいは安いもんだ
そんなことを思いながら、クマをそっと避けて魚を口に入れる
「あら、意外とクマって美味しいのね。ちょっとびっくりしたわ」
「だろ?えっと....ルーミアだっけ?」
「あら、覚えててくれたの?」
「そりゃさっき言ったし、何より蛍の師匠なんだろ?」
「俺はこんなやつを師匠にした覚えはねぇ」
「そうなのよ〜、お互いこんな生意気な子を育てることになるなんて大変ね」
「おい話聞け」
子供だからって舐めやがって....実際俺の方が二人より歳は上なのに
「それにしてもクマの肉気に入ったわ!これから狙うようにしようかしら」
クマさん絶滅までスピードアップしちゃったな。生き延びれるように願っておこう
「ん?おい蛍。お前の横に置いてるその石なに?」
「ん?....なにこれ」
口にもの入れて喋ってくる万紅に対して飲み込んでから話せよとか思いながら視線を合わせる
万紅の視線の方、俺の座ってる横には見覚えのない石が落ちていた
洞窟の中だから石なんてそこら辺にあるとは思ったが、何故か他とは違うような異質感を感じた
思わずその石を手に取ってみる
「ん〜、持ってきた覚えもないし、ちょっと変わった石かなんかじゃねぇの?」
「見た感じ、変わったところもない石だけど....なんか、気味悪いし捨てちゃえば?」
「テメェの存在の方が世間的に気味悪いけどな」
「闇の妖怪ですもんね」
そう言いながら洞窟の外の方に石を投げようした時
「ちょっとまて」
万紅がそれを止めに入る。意外な事が起きて俺も思わず固まってしまう
「え、なんだよ」
そして少しの沈黙
少し顔を曇らせて万紅は何か考え事をしているかのように石を見ていた。そして直ぐに気楽な表情になり口を開いた
「俺が用を足すついでに捨ててきてやるよ!貸してみ」
どうやらいつもの万紅の様で、良かったのか良くなかったのか
「見えないようにしなさいよ?」
「わかってら、それくらい礼儀はあるさ。ほれ、蛍その石パス」
「うい」
そう言って石を持って万紅は洞窟の外へ歩いていった
ルーミアが突然くすくすと笑う
「貴方もお侍さんも賑やかな人ね〜、いろんな意味で。当分退屈はしないわね」
「俺は退屈したいんだがな」
いつも通り適当に返す。まったく全然退屈出来ない。散歩とか、俺結局できなかったし....
ルーミアにも少しは退屈の素晴らしさを知って欲しい。そういうのはなくなってから気付くんだぜ
にしても、少し出たあの違う雰囲気、何か引っかかった気もするが、気のせいだろうと思い、また俺とルーミアは食事の続きを始めた
何故俺は女と飯を食ってるのだろうか
そんなことを思いながら感覚的にルーミアの存在を意識から外して魚を口に入れた
〇
「まぁ.....過去だもんな.....こりゃついてない.....いや、ついてるな」
侍は、不気味な石を手にしてそっと、そう呟いた
文力のことしか言ってないような気がするので違うことを!....何も無いです




