校舎裏と屋上
校舎裏、女子からの呼び出し
と来れば次に来るのは大体告白だろうと男なら誰もが思う
実際俺もそう思った。
そして本当に告白だったのだが、目の前にいる女子は少なくとも俺のタイプじゃない。
「峻くんのこと好きです、付き合って!」
告れば絶対OK貰えると思ってきたのだろうが、残念ながらそんなに自信に満ち溢れた女は苦手だ。
まぁ、まず化粧や香水をつけている時点で論外なのだが・・・
俺が好きなのは自己主張をあまりしない、控え目な人だ。
「むり」
答えとして合っているかどうかは大いに謎だが、無理なもんは無理
嫌よ嫌よも好きのうちと言う言葉があるが、嫌なもんは嫌だ
「何で?
好きな人居るの?私じゃなくて?」
勘違いも甚だしい
好きな人は居ないが、気になる人はいる。
いつも黙ってヴァイオリンを弾くあの娘
彼女の事を考えると胸が甘く痛む
「君には関係無いよ」
考える前に口が動いていた。
ケバい女は走って何処かへ行った。
俺には関係ない、だから追いかける筋合いもない。
下らないことで時間を取られた時はなんとも言えない怒りを感じるときがある。
とりあえず屋上に行った。
今は放課後だから
扉を開くと屋上に天宮さん寝転がってが居た
手にヴァイオリンは無い
ちょっと残念な気がしたが、無理強いしたくないから触れないことにした。
「告白されてましたね」
呟くように言った。
「え、うん
断ったけどね」
彼女の近くまで歩いていきながら答えた
「何故?」
空を仰ぎながら言う
「知らない人に告白されてハイそうですかって付き合うほど軽くないよ」
天宮さんから少し離れた所に腰を下ろした
「好きな人が居たとかではなくて?」
中々鋭いけどちょっと違う
そう思って黙っていると
「当たらずも遠からず、ですか?」
「そうだよ」
誤魔化せない気がしたから観念して素直に答えた
この話題にやけに食いついて来るな・・・まさかそんなわけ無いだろう
「・・・き・・す」
聞こえるか聞こえないかで何か言われた気がした
「なに?」
聞き返した
「・・・きです」
やっぱり聞こえない
声が小さすぎるからだ
「なんでもないです」
そう言うと、逃げるように屋上を出ていってしまった。
なぜだろう、
彼女を、
天宮 悠紀を追いかけなければいけない気がする
さっき告白された時はそんなこと全く思わなかったのに
考えている間にも体は勝手に動いていた。